動物豆知識 山手先生の動物のこと

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山手先生の動物のこと

当院の院長、山手はラジオ・FM岩手に出演しています(毎週火曜日の昼10時55分から11時)。
その番組内容は、「山手先生の動物のこと♪」と題して動物のあれこれについてお話しています。
また、大人のための情報紙「シニアズ」に動物のことを連載しています。その中からほんの一部を皆様にご紹介させていただきます。
犬、猫、鳥など様々な動物のこと、そして飼い方や病気のことなど幅広くご紹介いたしますので、
ご興味のある方はご覧下さい。

松園動物病院 山手先生

- 山手先生からひとこと -

家庭で飼育される動物のことを「ペット」から「コンパニオンアニマル」と呼ばれるようになって随分と時間が経ちました。我々獣医師の仕事もその間に意識変化してきました。ここでは広い意味で動物の健康や福祉、動物と人との関わりから、人と動物がよりよい形で共存するのに役立つポイントを獣医師の目から見てわかりやすく解説していきたいと思います。

また家庭で飼われている飼育動物の他に小さいものは細菌や微生物から、大きなものはクジラ、ゾウなどの大型動物まで様々な話題を取り上げたいと思っています。人間側と動物側の中間点に立ってお話したいと思いますが、私は獣医師なので動物側に偏る嫌いがあるかも知れません。
どうぞお許し下さい。

 - 目 次 -
犬のこと 猫のこと 被災動物のこと ウサギのこと 馬のこと
鳥のこと ハムスターのこと 野生動物のこと 家畜のこと NEW ・その他動物のこと
飼い方のこと 人畜共通感染症 夏の対策 いろいろな話        

山手先生の動物のこと 犬のこと

■自分のウンチを食べる犬

犬の食糞はたまに見られる行動です。食糞は、年齢や性別、食生活、去勢の有無などには関係がないとされますが、成犬よりも子犬や分離不安を持つ犬に多いようです。また、退屈を紛らわす、発酵したものを体が欲しがっている、単に食餌量が不足しているなど、要因はさまざまです。

傾向としては、食に貪欲で急いで食べる犬に多く、食糞する犬の多くは、新鮮な糞に興味を示すと言われています。そもそも、犬の祖先は、自分の周囲から糞を取り除くという行動をとっており、食糞はこのような習性に由来するものだけに、しつけによってやめさせるのは非常に困難です。しかし、犬にとっては自然なことでも、飼い主としては決して気分のいいものではありません。

糞の中には栄養的価値があるとも考えられますが、食糞は無害とは言い切れません。寄生虫はウイルス性の病気が感染する可能性もあります。糞は即座に片付けるのが一番ですが、食糞をやめさせるためのサプリメントも販売されています。ぜひ動物病院にご相談ください。

■ドッグランへ行こう 

犬をノーリードで自由に運動させられるドッグランが人気です。生き生きと走りまわる犬の姿は、見ている私たちも楽しい気分にさせてくれます。そこで、ドッグラン利用のマナーと注意点をご紹介します。まず、犬の命を守るために、ワクチン接種、狂犬病予防接種は必須です。接種証明書がないと利用できない施設がほとんどです。

ドッグランデビューするにあたり、基本的な躾は大丈夫ですか。犬同士のあいさつ、コミュニケーションはとれますか。また、「待て、来い、おいで」などの呼び戻し、犬が危険な行動に及んだ時「いけない、だめ、ノー」など、愛犬を制御できることが大切です。ドッグランでは、まずリードを付けて入り、安全な状況を確認してから外します。愛犬から常に目を離さないでください。

また、発情期のメスはドッグランに連れて行ってはいけません。大きなトラブルにもつながります。その他、排泄物の処理は必ず行うなど、基本的マナーはもちろん、施設ごとに決められたルールがあります。他人他犬に迷惑をかけないよう、ドッグランを楽しんでください。

■犬の寿命としつけの関係 

犬の寿命は、犬種や大きさ、純血種か雑種かなどである程度決まりますが、寿命を伸ばすためには、しつけも重要だということをご存知でしょうか。実は、しつけがされている犬の方が、されていない犬より寿命が長い傾向にあります。きちんとしつけられている犬は、普段から飼い主さんとのコミュニケーションがあり、必然的に共に過ごす時間が増え,お手入れをする機会も増えます。

日常的におていれをしていると、犬の細かい仕草に違和感を感じたり、手触りで異常を察知しやすくなります。それが病気の早期発見につながり、早い段階で治療を始められます。動物病院で診療を受ける場合でも、じっとしていられるようにしつけられた犬は、暴れる犬に比べて検査や治療が行いやすく、それだけ、それらの選択肢も増え、長生きの可能性は高くなります。

また、しつけを通してさまざまなことを経験した犬は、日常生活におけるストレスが減ります。愛犬を長生きさせるためにも、しつけを見直してはいかがでしょうか。

■犬と人との関係

新年は戌年です。犬は3万年ほど前から人と暮らしていたと推定され、家畜として飼われるようになったのは約1万2千年前と言われています。最初は狼の子どもを飼いならし、狩りに使ったのではないかとされています。長い歴史の中でこれほど人と共に生きてきた動物はありません。犬は本来、統制のとれた群れで生活する動物で、その性質は先祖から今も受け継がれています。

ペットとして飼われている犬は、その家族を群れのメンバーと認識しています。「犬は3日飼えば3年恩を忘れず」ということわざがあります。他人から受けた恩はいつまでも忘れてはならないという教えです。犬は生後4か月くらいまでに経験したこと、覚えたことは一生忘れません。人との円滑な関係を築くためにも、その時期は重要です。

本院では、社会化期と言われる生後3~4カ月の子犬を対象に、躾の仕方、犬同士や人との付き合い方を学ぶ教室「犬の幼稚園」を実施しています。この時期に学習したことは一生身に付く基本となり、病院での治療や家族との良好な関係に役立ちます。

■犬のレーズン中毒にご注意

犬に絶対与えてはいけない「食べ物」は、チョコレート、ネギ類、キシリトール、マカダミアナッツ、アボガド、アルコール、そしてブドウやレーズンです。ブドウをそのまま犬に与える人はあまりいないと思いますが、パンなどに入っているレーズンは、うっかり犬が食べる恐れがあります。

摂取後は1~3日以内に吐く、下痢、食欲不振などの消化器症状が現れます。また、重症化で死に至る急性腎不全を起こすこともあります。中毒症状が出る摂取量は、ブドウなら犬の体重1kgあたり20g。レーズンは生のブドウを干して7倍に濃縮されるので、体重1kgあたり3gです。体重3kgの犬では約14粒で症状が出る可能性があります。

コンビニエンスストアで実際に売られているレーズンパンは1個の中に、レーズンが約24粒から41粒入っており、小型犬ではレーズンパン1個でも非常に危険な状態になることがわかります。パンやシリアルに入っているレーズンに注意することはもちろん、人の食べ残しやゴミ、食べ物の入った買い物袋を床に放置するのは危険です。犬の盗食を誘発しないように注意しましょう。

■犬猫用コエンザイムQ10について

美容と健康、若さを保つため、コエンザイムQ10(COQ10)を化粧品やサプリメントとしてお使いの方も多いと思いますが、実は動物用サプリメントのCOQ10も発売されています。

ヒトを含む動物の体の細胞の中には、遺伝子情報が詰まった核と、エネルギーを作る発電所のようなミトコンドリアが入っています。その中のエネルギー供給を仲介する物質ATPを十分に活躍させるためには補酵素として還元型のCOQ10が必要になってきます。

COQ10は元々体の中にある物質ですが、残念なことに体の中で利用される還元型のCOQ10は、加齢病気、体質などにより低下し、加齢とともに酸化型COQ10を還元型のCOQ10に変換する力も落ちてきます。皮膚や筋肉、心臓や肝臓などの全ての臓器は細胞からできているので、これが不足すると元気がなくなります。

また、体が活動すると活性酸素などの老廃物(サビ)がたまりますが、COQ10の抗酸化作用によってこれをためないようにし、酸化したものを元に戻す(還元する)役割を果たします。健康寿命を伸ばし元気に暮らすため、ヒトもペットも還元型COQ10サプリメントをお勧めします。

■犬猫の病気傾向

動物病院に来院する犬猫の病気で多いのが、犬は皮膚炎や外耳炎、猫では下痢や口内炎ですがこれらはいずれも飼い主さんが気付きやすい症状でもあります。手術で多いのは、高齢の犬猫の癌や歯周病、若齢の犬猫では異物誤飲です。

小型犬の場合、手術を伴う骨折や膝蓋骨脱臼、高齢犬(7歳以上)では、歯周病のほか心臓の僧帽弁閉鎖不全症も多くみられます。犬種別では、キャバリアは心臓病にかかりやすく、発症リスクは犬種全体の約10倍といわれています。

また、ゴールデンレトリバーとバーニーズ・マウンテン・ドッグは癌の発症リスクが高いとされています。一方、猫は膀胱炎、腎不全、尿石症などの泌尿器系疾患が多く、年齢別では子猫(0歳)は外耳炎結膜炎、猫風邪、成猫(1~6歳)が尿石症、高齢猫(7歳以上)には腎不全や腎疾患が目立ちます。

しかし、飼い主さんの注意しだいで予防できることもあります。特に骨折、歯周病、異物誤飲などは、普段のしつけ、飼育環境の整備、日常のケアで防げます。定期的な予防接種や健診で、傷病の発生を
軽減できますので、早く気付き、対処することが大切です。

■犬のダイエット

ペットの肥満と飼い主さんの肥満は、少なからず関係があるように思います。自分自身が肥満傾向にある人は、ペットの肥満にも寛容で、対策を講じないことが多いようです。一般的に、犬の胸に触って肋骨に触れない場合と、軽い運動で息が上がる場合は、肥満をはじめとした何らかの異常の可能性があると言われています。

肥満は関節痛、心臓病、糖尿病などの病気やホルモン異常を起こすこともあり、寿命を縮める原因のひとつになります。早く気づき対策をとることが必要です。まずは、食事と運動を見直し、体重の記録をとりましょう。ダイエット用フードに切り替えて摂取カロリーを減らし、食事はおやつを含めた1日分の総量を考え、過剰に与えないように心がけてください。

運動は身体に負担のかからない程度に、今より増やしていきましょう。散歩の距離や回数を多くしたりおもちゃやボール投げで遊んだり、ドッグランに行くのもおすすめです。
肥満傾向の犬は、運動嫌いになりさらに太るという悪循環に陥りがちです。愛犬のダイエットはお早めに。

■ドッグランでの注意点

ドッグランは愛犬をリードなしで自由に遊ばせることができる施設です。誰でも楽しく利用できるようにルールとマナーを守ることが大切です。大小さまざまな犬が集まるドッグランでは、しっかりと躾ができているかが重要です。

飼い主の言うことが聞けない犬は大変危険です。最低でも「お座り、待て、来い」はできるように躾をして下さい。ドッグランデビューをする場合、初日はリードを付けてまずはその場に慣れさせることから始めます。初めての場に来た緊張と興奮で、飼い主さんの指示が全く耳に届かず、コントロール出来なくなる可能性もあります。

ドッグランの中では、自分の犬から決して目を離さないこと。目を離した隙に、他の犬とトラブルになったり、排泄したりすることがあります。また、小さな子供さんは、急に犬を触ったり、大声を出したりなどをする可能性があります。それによって犬が怯えたり興奮したりしてトラブルになることもありますので注意が必要です。

また、犬の首輪や胴輪は外さないでください。犬同士のトラブルの際、引き離すのに役立ちます。

■犬のいびき

いびきとは、睡眠中に鼻腔や咽頭を空気が通過する時、軟口蓋、口蓋垂などが振動して生じます。簡単に言うと、咽喉が狭くなって出るわけですが、狭くなる原因のひとつは、舌の付け根が大きくなることです。

牛タンを食べるとよくわかると思いますが、舌の付け根には脂肪が付いています。特に過度に肥育した牛の舌の付け根や喉、首の周囲には多くの脂肪がみられます。太った人がいびきをかきやすいというのは、そういう理由からです。

同様に、太った犬もいびきが多くなります。また、パグ、シーズー、ブルドックなどの鼻の短い犬種がよくいびきをかくのも、喉が狭いという同じ理由です。一方、猫やウサギ、ハムスターなどは太っていても喉が狭くなりにくいので、いびきはかきません。

いびきは喉や鼻が原因で起きていることがほどんどですが、中には心臓や呼吸器に疾患が隠れている場合もあります。いびきそのもので命を落とようなすことはありませんが、いびきの途中で呼吸が止まったり、あまりにもいびきがひどい場合には、動物病院を受診してください。

■ペットのマイクロチップ

ペットが迷子になったり盗難にあった時、身元が確認できるのがマイクロチップです。直径2㎜、長さ1㎝のごく小さいもので、その中に世界でただ一つのID番号が記録されています。通常ペットの首の後ろの皮下に埋め込みます。

保健所にはマイクロチップリーダー(読み取り器)が完備されているので、もし保健所に保護されても、真っ先に飼い主さんに連絡が入ります。東日本大震災の際は、これで多くの動物が助かりました。
マイクロチップの装着は簡単で、専用の注射器を使い、首の後ろの皮下に埋め込み、データ読み取り確認をして終了。注射と同程度の刺激といわれています。

その後、登録料1000円を振り込み、マイクロチップ動物ID登録申込書を日本獣医師会に郵送します。約3週間後飼い主さんのもとへ、登録完了通知書が送られてきます。登録した情報は、約20年間保存されることになっています。

費用は病院によって異なりますが、診察料、埋め込み処置、登録料を合わせて5000円ぐらいです。
大切なペットの万が一に備えて、マイクロチップの装着を検討してみてはどうでしょうか。

■犬の子宮蓄膿症

避妊手術をしていない雌犬がそのまま高齢になると、子宮蓄膿症を発症することがあります。雌犬の発情は生後7~8カ月で始まり、その後6カ月ごとに繰り返され、個体差もありますが、8歳前後まで続きます。

発情が終わり、しばらくしてから、また出血が始まった時や止まらない時は、卵巣腫瘍の存在が疑われます。また、普通の発情後に1~2カ月してから、子宮蓄膿症になることもあります。子宮蓄膿症を放置すると子宮内の膿から出る毒素や抗原物質が影響を及ぼし、血液の凝固障害や敗血症など重篤な状態に陥ることがあります。子宮が破裂した場合は、緊急手術を行わなければなりません。

子宮蓄膿症予防のためには、なるべく早い時期に避妊手術をすることで、卵巣、子宮など婦人科系の病気や、乳腺腫瘍、女性ホルモンに由来する糖尿病などの予防にもつながります。元気や食欲がない、陰部を舐める、多飲多尿、お腹が大きくなる、呼吸が苦しいなどの症状が見られる時は、動物病院を受診してください。

■高齢ペットの病気対策

人と同様ペットも高齢化し、老化に伴う病気が増えてきました。犬や猫は大体7歳からをシニア期ととらえます。犬では、目が白く濁る、耳が遠くなる、歩き方がぎこちなくなる、すぐ疲れる、咳をする、夜鳴きをする、物にぶつかる、水を多量に飲む、口の周囲に白毛が目立つ、名前を呼んでも無反応など、シニア期の特徴が現われてきます。

病気としては、骨関節疾患、心臓病、慢性腎臓病、腫瘍、代謝疾患、ホルモン異常、認知症、歯周病、肥満などが多くなります。そこで、飼い主さんが気を付けなくてはならないのが、年齢や病状に合った食事管理、歯磨き、無理のない運動です。そのほか、声をかけてから徐々に触る、家具の配置を変えないなど聴力、視力の低下に配慮して接することが必要です。

かわいいペットを長生きさせるためには、予防接種やフィラリア予防、避妊・去勢手術をする、ストレスの軽減なども大切です。行動や体調の変化を単に年のせいだと決めつけると病気が進行してしまうことがあります。シニア期は、少なくとも半年に一回の定期検診を受けるようにしましょう。

■犬のマダニ予防

犬はクンクン臭いを嗅ぎながら、鼻先から草の中に入りますが、そこには厄介なマダニが潜んでいます。マダニは8本脚からなる節足動物で、昆虫ではなくクモやサソリに近い生き物です。日本に棲むマダニのうち約20種類が犬に寄生します。マダニの唯一の栄養源は動物の血液で、吸血の際に、原虫やウイルス、細菌などの病原体を媒介することがあります。

ダニが媒介する感染症は、ライム病とツツガムシ病が有名です。また、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は治療薬がない厄介なウイルス性の病気です。マダニが犬の体に付かないようにするには、薬を使うのが効果的です。現在はスポットオンが主流ですが、首輪や飲むタイプの薬もあります。また、同時にフィラリア予防もできたり、3か月効果が持続するものもあります。

スポットオンタイプは犬の首筋の皮膚に垂らすだけで、24時間以内に全身の皮膚の皮膚線に広がり、その効果は約一か月続きます。その間シャンプーをしても大丈夫。人への安全性も確認されています。自分の生活に合った薬で犬のダニ、ノミ、フィラリアを予防しましょう。

■犬猫の歯周病

ペットとして飼われている犬猫のほぼ100%が、口腔に関する何らかのトラブルを持っています。
大型犬の場合は、おやつとして与える牛の蹄など、硬い物をかじった時に歯が欠けることがよくあります。犬猫の口の中にはミュータント菌が棲めないため、虫歯で歯を失うということはほとんどありません。

歯を失う原因の多くは歯槽膿漏などの歯周病です。特に2歳以上の室内飼育の小型犬では歯周病の罹患率が20%~90%と高くなっています。歯周病巣で増殖した細菌が血流に乗り全身に流れ、重篤な病気につながることもあります。デンタルケアは犬猫にとっても大切なのです。

飼っている犬猫の口臭を感じたら、口の中をチェックし、歯垢を除去しましょう。歯磨きは週2回を目安に行います。
初めは口を触る練習からスタート。ガーゼで擦ったり、軍手をしてマッサージしたりするだけでもいいでしょう。その時に好きな缶詰などを付けてもかまいません。そのほか、歯垢の付きにくいフードやガムを与えるなど、歯周病にならないよう注意しましょう。

■犬を飼うメリット

糖尿病や癌などを発見する犬は別格として、犬を飼うと良い効果があるといわれています。

犬との散歩で会話が増え、社交性が高まり、飼い主さんの運動量も必然的に増えます。犬と触れ合ったり、見つめるだけで、幸せな気分になり、幸せホルモン(オキシトシン)の分泌量が多くなります。犬の広い額、大きな目、小さな鼻は、人の赤ちゃんを連想させ、母性がかきたてられます。ストレスを感じる状況下では、ストレスの減少に役立ちます。

犬と暮らす幼児はアレルギーの発症リスクが少なくなります。ペットを飼っている一人暮らしの高齢者は、うつになるのが、4分の1に減少することが判っています。アメリカでは、ストレス障害の帰還兵や刑務所での服役者が、犬とふれ合うプログラムで、リハビリ効果を上げています。

ほかにもメリットはありますが、犬と遊んだり、抱きしめたりしながら、犬との強い絆を感じる喜びがあります。犬と一緒ならさらに充実した楽しい人生を送ることができるでしょう。

■ 犬の心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」

犬も高齢になると、心臓の弁が分厚くなったり、伸びてしまったりと機能が低下してきます。それによって、心臓の左心房と左心室を仕切る僧帽弁が完全に閉鎖せず、心臓が拍動するたびに血液が逆流し慢性心不全の原因となる僧帽弁閉鎖不全症になることがあります。

きちんと閉じなくなった弁が自然に回復することはありません。血液をスムースに送り出せないと、心臓はより強い力を必要として負担がかかり、多くの場合徐々に症状が悪化します。
形状は心臓肥大となり、気管支が圧迫されて咳や呼吸困難、肺水腫を発症するようになります。

僧帽弁閉鎖不全症と診断されたら投薬、食事療法、酸素吸入などを行います。そのほか、興奮して心拍数が上がらないように安静にする、血圧上昇や血管収縮をさけるため急激な温度変化に配慮するなどして、病気の進行を遅らせることは可能です。

 呼吸が苦しそう、舌の色が紫または白っぽい、伏せたり横になって眠れない、透明からピンク色の泡状の鼻汁や痰が出るなどの症状がある時は早急な治療が必要です。 

■ 犬の笑顔

ほかの動物ではあまり見かけませんが、目を細め口角を上げるなど、犬は笑ってるように見える表情をすることがあります。特に柴犬などの日本犬に多くみられます。犬は1万5千年前から、人と一緒に暮らしています。その先祖は元々、群れで生活する動物で、相手の表情や行動を注意深く観察したり、真似したりする能力にたけています。

嬉しい、楽しいという感情から笑うというのは、人間を含めて一部の霊長類しか見られませんが、最近の研究で、犬が我々人間の表情から、「笑顔=YES(肯定的)・怒った顔=NO(否定的)」と認識していることがわかってきました。

表情によるコミュニケーションは、犬が長い間、人間と共に生きてきたことによって習得した能力といえるかもしれません。つまり、飼い主が笑顔だと犬も真似して笑うような表情になるというわけです。その犬の笑顔を見て、飼い主はさらに笑顔になるという好循環が「笑顔=GOOD(好意的・ごきげん)」と、犬が学習するのだと思われます。この幸せスパイラルをぜひ体験してみてください。

■ パピー(子犬のしつけ)教室について

パピークラスとは 2~4カ月の仔犬を対象に、遊びながらワンちゃん同士の付き合い方や、お家の方以外の人とも楽しく過ごし、これから出会うであろう音や物に触れてもらいます。そして、ワンちゃんとはどういう生き物か、「しつけ」とは何か、問題行動の予防等を飼主様に伝授し、ワンちゃんも飼主様も楽しい毎日がおくれる様、一緒に勉強する場です。

子犬のしつけ教室犬の発育過程でおよそ生後3~14週令に「社会化期」という時期があります。この時期は、音や物、場所、犬や人、その他の動物などたくさんの物を子犬達はスポンジのように吸収し、社会性を身に付けます。この時期に出会った物や体験した事は、生涯記憶に残り、その犬の性格にも大きな影響を与えます。将来、問題行動を起こさないよう、この時期を大事に過ごして頂くものです。

大抵の子犬達は、何にでもすぐに慣れてくるのですが、この時期に注意したいのが恐怖心や嫌悪感を体験してしまうことです。これもかれらの記憶に深く刻まれてしまうため、取り除く事は困難になります。そのため、新しい刺激や体験をさせる時、必ず「良い事」「嬉しい事」と一緒にすると、苦手になる事を防げます。「良い事」「嬉しい事」に、普段与えているフードやおやつを使います。単にお皿に盛られたフードを、食事として5~10分で済ませてしまうよりも、お客さんが家に来た時に与えてもらったり、宅配のお兄さんに与えてもらったりするなど、「人はいつも自分にとって良い事をしてくれる」と思えば、人が大好きになります。

また、外で車やバス、電車、パトカー、自転車のベルやパチンコ屋の音、犬、猫、鳥、虫、風の音など、日常の中には沢山の音で溢れています。「社会化期」にそれらできるだけ多くの音を体験させることで、人間社会においてワンちゃんも飼主様も、あまりストレスを感じることなく過ごせるようになります。

予防注射や病気やケガをした時に動物病院に行きますよね。しかしワンちゃんにとって「病院」はなかなか好きになれる所ではありません。そこで、この「社会化期」に病院でいっぱい遊んで、スタッフとも楽しい思い出を作って頂ければ、まず動物病院に対する恐怖心は取り除くことができます。犬同士の付き合い方も社会化期の時期に身に付けさせることが大切です。遊びを通してケンカにならない対応の仕方や、遊びの誘い方等、犬同士の社会性をぜひ一緒に身に付けましょう。 

■ ワクチン接種と公園デビュー時期

2ヶ月半になるオスのマルチーズを飼い始めました。生後50日で2種混合のワクチンが打たれています。仔犬の狂犬病とワクチンの時期は何時ですか?また、外へ出して遊べるのはいつ頃からか教えて下さい。

ワクチン接種の時期は母親から移行する(もらう)胎盤や母乳からの免疫が無くなる時期により異なります。例えば、パルボウイルスについて言うと、早ければ生後30日程で無くなるケースがあります。一方、長いと90日以上持続します。また厄介な事に、母親からもらった移行抗体があるとワクチンを接種しても抗体価が上がりにくいのです。つまり、せっかく打ったワクチンが、体を守るためにある抗体に打ち消されてしまい効果が期待できません。飼主さんはワクチンを打っているから安心して外に出してしまうと言うこともあります。だから、子犬には何回かワクチンを打つことになります。また複数回打つ事で、上がりかけた抗体価をグーンとあげる効果もあります。

混合ワクチンでは、3ヶ月半を過ぎてからもう1回接種する事をお勧めします。ワクチンを打ってから効果が出るまで1週間はかかります。病気の事を考えると、公園デビューはそれからする方が安全です。一方、躾の事で言うと生後2ヶ月から4カ月の子犬の社会化期(犬としてのルールを学ぶ時期)に他の犬や色々な人・物に慣れさせる大事な時期でもあります。何回かワクチンを接種しながらまたそのワクチンが効いている事を願いつつ、外に出すことになります。狂犬病予防接種と登録は、生後90日以上の犬が対象になります。何のワクチンを接種するか、その時期(タイミング)はそれぞれの子犬によって異なります。動物病院にお問い合わせください。

■ 犬の肥満について 

人の肥満についてもそうですが、犬の肥満についての関心は高く、飼主さんの83%が飼い犬の肥満を感じていると言うデータがあります。動物の栄養状態を示すツールとして、BCS(ボディコンシャススコア)というものがあります。5段階で表示されるものですが、4は肥満傾向(体重過剰)5が肥満としています。BCS3理想体重は、肋骨が薄い脂肪に覆われ触る事が出来る状態で、腰部は薄い脂肪に覆われなだらかな輪郭をしている事とされています。骨格には触れる事が出来、体型的にみると、腹部がごく薄い脂肪に覆われ、腰に適度なくびれがあることとされています。

体重が増える原因は、飼主さんが太っていることも大いに関係しています。犬が太っている事を気にしない方が多く、お腹が空いてはかわいそうと言う気持ちがあるのかも知れません。もちろん体質もあります。中高年になり基礎代謝の低下がみられる・避妊・去勢をしている・運動不足なども肥満の原因としてあげられます。特に室内飼いだと食べ物を、必要以上に与えてしまいがちです。体重5kgの犬にクッキー1枚を与えると、人だと対ハンバーガー1個に相当するカロリーがあります。

■犬の認知症の始まりについて

犬の認知症が柴犬等の日本犬を中心に多く見受けられます。お宅の(犬)ワンちゃんに、以下の様な兆候が有れば、認知症が始まっているかも知れません。注意深く観察してみて下さい。

1)よく知っている環境下での見当識障害(Disorientation)狭い場所を通りぬけようとする・室内での方向感覚の喪失散歩のとき、方向感覚を失うことがある。2)人や他の動物との関係性の変化(Interaction)感覚が鈍くなって攻撃性が高まった・飼い主と関係を持たない飼い主を認識できないことがある。3)睡眠―覚醒周期の変化する時間認識障害(Sleep-wake cycle) 昼夜逆転 4)しつけや排泄など学習されていた行動の減退や反応の欠如(Housetraining)尿失禁・ 糞便失禁。5)活動性の変化(Activity)常同的な歩行・くるくる回る・ 夜哭き後ずさりできない・ 無目的に歩き回る・ 睡眠の増加。この様な症状が有ると動物病院へ相談してみて下さい。

脳血管障害の薬を与える場合も有り、人の認知症の薬を動物に応用し、症状の改善が多く見られます。予防的には、栄養学的にオメガ3の脂肪酸(DHA・EPA)を添加し脳の活性を図ったり、腫瘍や関節炎を視野に入れたシニア用のフードも市販されています。年のせいと諦めずに動物病院にお問い合わせ下さい。

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山手先生の動物のこと 猫のこと

■猫にも多い紐や糸の誤嚥(ごえん)

猫は紐や糸が好きで、遊び中に飲んでしまうことがあります。紐は短いものなら自然に出てくることもありますが、胃の中に停滞したり、長いと腸内で紐状異物として腸閉塞を起こしたり、腸を傷つけることもあります。胃の中、あるいは腸の中で紐や糸に他のおもちゃが絡むと腸がアコーディオンのように縮み、糸で腸が切れて多数の穴が出来る事が有ります。

腸閉塞の主症状は、食欲不振、嘔吐ですが、水を飲まなくなる、あるいは飲んでもすぐに嘔吐する場合は非常に危険です。すぐに動物病院を受診してください。紐や糸を食べた可能性があることを獣医師に告げると診断に役立ちます。胃の中に停滞していれば内視鏡で取り出せる可能性がありますが、無理に引っ張るのは危険なので開腹手術をすることが多いです。

お尻から紐の端が出てきた時も同じです。この場合も無理に引っ張らないで自然に出てくるのを待ってください。紐付きのおもちゃは凶器になる事が有ります。また、猫がいたずらしそうなものは猫の周囲には置かないようにしましょう。特に縫い針の付いた糸は要注意です。

■猫のくしゃみはないですか

猫にもアレルギー性鼻炎などはありますが、猫の鼻水やくしゃみを単純にアレルギー性鼻炎だと判断してしまうのは危険です。花粉が猫のアレルゲンになっているかは、証明されていません。鼻炎を引き起こすのは、ウイルスや細菌、カビなどさまざまな原因が考えられ、その原因によって対処法が異なります。まずは原因究明が大事です。

同じような症状でも、風邪の場合や、鼻の腫瘍やクリプトコッカス症など、ほかに病変がある猫も初期症状でくしゃみが出ることがあります。また、水を飲むとくしゃみが出る場合は「口蓋裂」の可能性もあります。これは、口と鼻を隔てる口蓋が裂けて、口と鼻がつながった状態になったものです。
くしゃみではなく、むせるような時は、喉に異変がある事もあります。

たまにくしゃみや、鼻水が出るくらいでしたら様子を見ても良いでしょう。しかし、くしゃみにせよ鼻水にせよ、不調が続くのは体に異変が起きている可能性があります。くしゃみが3日以上続いたり、鼻水が常に垂れる場合は、動物病院を受診されることをお勧めします。

■冬に多い猫の下痢

猫の下痢の原因はさまざまです。環境の変化に弱い猫は、引っ越しや留守番、ホテルに預けられたなどのストレスでも下痢を起こすことがあります。また、異物を飲み込んだ場合は嘔吐が主ですが、腸まで異物が移動していると下痢症状が出てきます。誤って飲んでしまった薬や、治療で飲んでいる薬などからも下痢が引き起こされることがあります。

特に注意しなければならないのは、ネズミや害虫駆除のための殺虫剤やホウ酸団子などの化学薬品をネズミを介して摂取してしまうことです。下痢を起こす食べ物は、腐ったりカビの生えたもの、消化の悪いフード、冷たいフードも該当することがあります。食べたことがないもの、体に合わないものを食べると、アレルギーと似たような反応を起こして、下痢になることもあります。

膵臓の機能異常や腸などの腫瘍、感染症からも下痢症状が出ます。多量の下痢は脱水症になることもあります。猫が下痢をした場合には便の量や回数、血や粘膜が混じっていないかどうか、嘔吐や体重減少などチェックして、早めに病院を受診するようにしましょう。

猫の食物アレルギー・食物過敏症のはなし

質問;3歳になるオスのシャムネコを飼っています。顔や首を中心に脱毛がありかゆがります。動物病院で食物アレルギーではないかと言われました。猫の食物アレルギーについて教えてください。

答え;猫の食物アレルギー(食物過敏症・食物不耐症とも呼ばれる)は、かゆみを伴う皮膚の病気です。この病気は非季節性のかゆみを伴う皮膚疾患で、発生のメカニズムは未だ不明です。「食餌の内容がかゆみや皮膚炎の原因になる」ということ位しか解っていません。また、発生率は不明で比較的まれな皮膚疾患です。(皮膚疾患の3.4%)シャムやバーミーズ、ヒマラヤンおよびメインクーンに好発します。2~5歳までの比較的若い猫に発症し易く、性差はありません。

典型的な症状として、非季節性の重度のかゆみが挙げられます。また、かゆみは顔、耳及び首に出やすい傾向がありますが、全身性に見られることや、脱毛だけが症状としてみられることもあります。また、併発疾患としてアトピー性皮膚炎やノミアレルギー性皮膚炎の報告があります。二次的な感染症はまれですが、細菌性毛包炎やごくまれにマラセチア皮膚炎が見られることがあります。嘔吐や下痢などの胃腸障害は、まれに発生(およそ数%程度)するとされています。

原因となる食べ物としては、魚、牛肉、鶏肉、卵、市販食(ドライ・缶)、豚肉、羊肉、馬肉、鯨肉、ウサギ肉、二枚貝、肝油、安息香酸、グルテン、トウモロコシなど多種多様です。診断には、脱毛やかゆみを伴う似た皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、皮膚糸状菌症、耳ダニ、ツメダニ、疥癬)や心因による脱毛や皮膚炎があり、これらを除外するために皮膚科検査(皮膚掻爬検査、細胞診、真菌培養、毛検査など)を行います。

また、除去食試験により、かゆみなどの臨床症状が大幅に軽減される事を確認し、元の食餌に戻すことによって症状が再発すること(負荷試験)で確定診断とします。除去食としては、原因となることが予想されている」食材を除去した食餌を与え、過去に摂取したことがない食材を用いた家庭食が推奨されます。除去食については、4~6週間で症状の改善が見られ、6~10週で最大の改善がみられたとの報告があります。なお、アレルギー検査(血液および皮内反応試験)の有用性は証明されていません。

治療は、原因となる食材を特定して、それを除去した食餌を用いることです。アレルゲン回避ができない場合は、全身性の痒み止めの投与を行いますが、痒み止めが効かない猫も多く、60.9%の猫で全身性のグルココルチコイドの投与に反応が無かったとされています。

■猫にお酒を飲ませても良いか?

猫にアルコールを絶対に与えてはいけません。猫にアルコールを与えるのは大変危険です。と言うのは猫は人間のようにアルコールの代謝ができません。ほんの一口でも死に至ることがあります。人間は、ビールやワインなどアルコールを摂取すると胃や腸で吸収し、肝臓でアルコール脱水素酵素によって分解され、アセトアルデヒドに変化します。アセトアルデヒド脱水素酵素がさらに分解を進め、無害になっていきます。しかしアセトアルデヒドが分解できないと、体内にまわり、二日酔いの原因になったり、アルコール中毒になったりします。

猫はアルコールを分解する酵素を持っていないのでアセトアルデヒドを分解することができません。一度摂取したアルコールは無害化されることなく、長い間体内を循環し悪影響を及ぼしてしまいます。アルコールが分解されないと、脳幹の機能を抑制させ、心肺機能を制限させる恐れがあります。

症状として意識が朦朧としてしまう、昏睡状態に陥る、心肺機能が鈍くなる、嘔吐物が喉に詰まり窒息する、などです。アルコールが分解されず体内に残ることによって重度の中毒症状を引き起こす可能性もあり、意識を失って命を落とすことも珍しくありません。お酒などを飲ませ、「酔っぱらった様子がかわいい」とのんきなことを言っている間に、いきなり息を引き取ってしまうケースもあります。

意図的に飲ませることは絶対にせず、もし誤飲をしてしまった場合は、元気な様でも動物病院にご連絡ください。アルコールの猫の致死量は大体1kgあたり5.6mlと言われています。これは致死量の目安であり、個体により強い弱いもあります。影響は大きいのでご注意ください。

■猫が下痢をする場合の原因と病気

猫の飼い主さんであれば、愛猫の下痢は誰もが経験する症状です。原因と病気にはストレス、異物を飲み込んだ場合、フード・薬品によるもの、感染症、内臓疾患など多種にわたっています。ストレスが関係するものでは、猫は環境の変化にとても弱く、引越しや留守番・ホテルへ預けられたなどの環境の変化によるストレスでも下痢になることがあります。また、ストレスで膀胱炎を起こすこともあります。

異物を飲み込んだ場合に起こる症状は、嘔吐が主体です。腸まで異物が移動している場合は下痢の症状が出てきます。フードが原因の場合、腐ったものやカビの生えたもの、消化の悪いフードや冷たいフードを食べると下痢の原因になります。また、今まで食べたことのない物や体に合わないものを食べると食物アレルギーと似たような反応から下痢として発症することがあります。

薬品が原因の場合には、誤って飲んでしまった薬、治療で飲んでいる薬などからも下痢が引き起こされることがあります。特に、抗生物質によって腸内細菌のバランスが崩れてしまい、下痢になってしまうこともあります。気を付けなければならないのは、ネズミや害虫駆除のための殺鼠剤やホウ酸団子などの化学薬品をネズミなどを通して接種してしまうことです。

感染症からの下痢としては、細菌、ウイルス、寄生虫疾患、特に子猫では寄生虫の寄生が危惧されます。寒くなる季節には猫パルボの予防注射を受けておくこともお勧めします。内臓疾患からの下痢は、肝臓の機能異常、腸などの腫瘍においても同じ症状が見られます。下痢と言っても原因は様々ですし、症状も水様のものから泥状のものまであります。

診察を受ける際は、便の量や回数、血や粘膜が混じっているか、嘔吐や体重の減少があるかなどをチェックし、便を持って来院下さい。

■猫のデンタルケア 

猫は虫歯がほとんどありませんが、3歳以上の猫の80%が歯槽膿漏などの歯周病にかかっているといわれています。歯周病は口臭や歯を失う原因になるだけではなく、歯槽骨膜炎を放置した場合細菌が増加し、血液を介して全身の臓器に運ばれ、心内膜炎・心臓弁膜症・敗血症・細菌毒素によるショックなど、さまざまな病気を引き起こし、死に至ることもあります。

歯周病予防のためには、歯垢の除去と歯茎の手入れなど日頃のデンタルケアが大切です。歯磨きは、むりやり押えつけて口に歯ブラシを入れたりせず、ガーゼで擦ったり、軍手でマッサージするなど、まずは口を触わる練習から始めましょう。歯磨き嫌いにならないように、眠っている時に少しずつ行うか、好きな缶詰フードを口の中にすりこむなど、優しく根気よく続けることが大切です。

歯垢予防効果のあるフードや、ガム、スプレーなどデンタルケア製品を併用するのも良い方法です。人用の歯磨きペーストは、フッ素や研磨剤、清涼剤が入っているので動物には使用できません。日頃のケアと動物病院での定期的チェックを心がけましょう。

■猫の鼻は湿っている?

ふだん湿っている猫の鼻が乾いていると、病気なのではないかと心配する方がいますが、決してそうとは限りません。そもそも猫の鼻がなぜ湿っているかというと、鼻の内部から分泌液がしみ出し、その湿り気のおかげで匂いや気温、湿度を感知します。つまり嗅覚で獲物を察知する時ほど、鼻の湿気が必要となるわけです。

しかし、リラックスしてゴロゴロしている時や眠っている時は、湿っている必要がありません。起きて間もない時は鼻が乾いているのが普通です。また活動期に鼻が乾いていれば、熱が高いか、脱水している可能性があり、さらに感染症の病気にかかっていることも考えられます。下痢、食欲不振、便秘などの症状がある場合は、動物病院で受診してください。

猫の体温は通常38度くらいなので、可能であれば自分で測ってみましょう。
鼻が乾く=病気の危険性が高くなる=獲物を獲れなくなる=命の危険ということになります。ふだんから猫の行動をよく観察して、いつもと違うと感じた場合には、猫の鼻が湿っているかどうか、チェックしてみてください。

■ 腎不全の猫について

お問合せ :8歳(8年目)の猫が腎臓病と貧血です。松園動物病院では輸血等の治療はできますか?

検査結果です(かかりつけの獣医さんには 1週間入院 点滴してだめで 自宅で延命処置中です)HCT 11.3% HGP 3.4g/dl MCHC 30.1g/dl WBC 21.9 GRANS20.8 %GRANS95% L/M1.1 %L/M5% PLT175 (猫エイズ等)他の病気には感染していません。病気が治らなくても出来るだけ長生きしてほしいです。水、餌はほとんど口にしません。

お答え:当院では供血用の猫が1頭いますが、検査して血液型が合えば輸血は可能です。また、他に供血猫をご用意頂ければ可能です。Ht11%は生きる限界を超えた厳しさです。即、輸血が必要です。BUN・CREAの記載がありませんが、腎不全の程度はどうでしょうか?その他生体の恒常性に必要なものを補正しなければ生きて行くのは困難になります。根本的には腎臓での再吸収が機能していないので、貧血が進んでいるいと思われます。輸血と平行してそれらの治療が必要です。対症療法には限界がありますが、出来るだけ楽に延命出来ればそれに越したことはありません。早急にご来院をご検討下さい。

■ 猫の甲状腺機能亢進症

猫の甲状腺機能亢進症は甲状腺での甲状腺ホルモン(T4、T3)の生成・分泌過剰による全身性疾患で片側または両側の甲状腺の慢性疾患によって発症します。症例の70%は両側性ですが左右対称に腫大している例は10~15%しかありません。甲状腺癌は5%未満ですが甲状腺部の塊(腫瘤)が3つ以上では甲状腺がんの可能性が高くなります。胸の中の縦隔というところまで腫れてしまう猫もいます。

原因ははっきりしませんが、免疫、感染、栄養、環境、あるいは遺伝が関与しているといわれています。市販のキャットフードが問題視されたこともあります。最近では遺伝子の変異が関与しているといわれています。8歳を超える猫で多くみられる病気の1つで、(4歳~20歳での報告がありますが、)8歳未満の猫では全体の5%未満にすぎません。性別による差はなく、短毛種、長毛種ともによく見られます。シャムとヒマラヤンは発症の危険性が低いとされています。

症状:体重減少、多食、落ち着きがない、活動性の亢進などがよくみられ、斑状の脱毛、毛玉、多飲多尿、嘔吐、下痢などもみられます。食欲不振がみられる猫もいます。
検査:一般的な血液検査(血球検査・生化学検査)及び甲状腺ホルモン検査(T4、fT4)では、血清T4値が4μg/dl以上だと甲状腺機能亢進症の可能性が高い。<2.0だとその可能性が低い。
治療:抗甲状腺ホルモン剤の投与 外科手術

猫の甲状腺機能亢進症は高齢の猫に多くみられる病気で、めずらしい病気ではありません。これといった特徴的な症状がないので症状からこの病気を特定することは困難です。甲状腺ホルモン検査をして測定値が明らかに上昇していればこの病気を疑うことになります。当院では甲状腺機能亢進症の治療は内科的に行なうことがほとんどです。ただし、高齢猫では腎臓トラブルも多く見られます。あまり積極的に甲状腺機能亢進症の治療をしてしまうと隠れていた腎臓トラブルが一挙に出てくることにもなりかねません。一般的な血液検査において腎臓トラブルが出ているようですと甲状腺の治療は緩やかに穏やかに進めていくことになります。食べるのに痩せて来た。多飲多尿等は他の病気の事もあります。動物病院に相談してみて下さい。

治療には腎臓へ流れ込む血液(腎血流量)を増やす薬や、便中に尿素窒素を排出させる、吸着炭などがあります。これらの薬は腎臓を守る効果は非常に高く延命が期待されます。腎不全が進行すると、貧血、骨代謝異常、高血圧となり、尿毒素の体内蓄積により、多臓器(不全)疾患症状を示す尿素症となります。腎臓移植や透析をしなければ死亡してしまいますが、小動物では技術的にも経済的にもそういった治療は現実的ではありません。早期発見早期治療が必要です。10歳を越えたら定期的な検診をお勧めします。

■ 唾液腺摘出手術を受けた猫 

お問合せ:14歳の猫です。10日前に唾液腺摘出の手術を受けましたが、今もまだ、唾液らしいものが漏れてきます。また、腎臓の数値が上り、昨日今日と点滴を受けています。体調が安定したら再手術になるかもしれません。最初の手術で、改善しなかったので、とても不安です。ご意見をお聞きしたいのですが、お願いできますか?

答え:情報が不足していて答えようがないと言うのが正直なところです。セカンドオピニオンを希望されるのであれば、診察させて頂く必要があります。例えば、なぜ唾液腺を摘出する手術を行ったのか?腫瘍?ガマ腫?外傷だったのか?唾液腺を摘出すれば普通、唾液は出なくなります。どの様な術式で行ったのか?また、反対側は摘出するのか?口腔内を含めた他の疾患は無いのか? などです。これらを踏まえて考えて行くことになります。

腎不全は猫には多い疾患で、特に高齢猫ではベースに潜在的な機能低下があったと思われます。それに全身麻酔をかけて手術を行うなど侵襲の大きい治療を行うと隠れていた病気が表面に出てくる事も多くあります。再手術をお考えのようですが、腎臓の状態の改善が第一でしょう。まず、全身状態を少し改善させる事に主眼を置かれた方が賢明でしょう。今後、体の侵襲を(多く)伴う積極的な治療は、慎重に行う必要があると考えます。また、現在お任せされている先生を信頼され、良くお話になり今後の治療を決められれば(良い)と思います。お大事にして下さい。

■突然凶暴になった猫

問い: 飼い猫が、突然暴れだし噛み付き飛び掛ってきました。 私自身足に怪我をし、数針縫うような状況となってしまいました。 できれば、猫の牙の先端を丸くしたいと考えておりますが、それは問題があるのでしょうか?

答え:猫の性格に変化があり、突然凶暴になったと言う訴えをたまに聞くことがあります。多くは高齢の猫でそう言ったケースが多いようです。原因としては、何らかの精神的なものも考えられますが、多くはホルモンの失調によることが多いようです。特に猫では、甲状腺機能亢進症が多く見られます。このネコちゃんが何歳で、この病気に該当するかどうかは診てみないと分かりませんが、甲状腺機能亢進症を前提でお話します。

猫の甲状腺機能亢進症は8歳を超える高齢の猫に多くみられる病気の1つで、特にめずらしい病気ではありません。(4歳~20歳での報告がありますが)8歳未満の猫では全体の5%未満にすぎません。性別による差はなく、短毛種、長毛種ともによく見られます。シャムとヒマラヤンは発症の危険性が低いとされています。これといった特徴的な症状がないので症状からこの病気を特定することは困難です。甲状腺ホルモンの検査をして測定値が明らかに上昇していればこの病気を疑うことになります。

症状:体重減少、多食、落ち着きがない、活動性の亢進などがよくみられ、斑状の脱毛、毛玉、多飲多尿、嘔吐、下痢などもみられます。食欲不振がみられる猫もいます。
原因:はっきりしませんが、免疫、感染、栄養、環境、あるいは遺伝の変異が関与しているといわれています。市販のキャットフードが問題視された事もあります。
検査:一般的な血液検査(血球検査・生化学検査)及び甲状腺ホルモン検査

治療:抗甲状腺ホルモン剤の投与、または外科手術。(当院では内科的が多い)ただし、高齢猫では腎臓トラブルも多く見られます。あまり積極的に甲状腺機能亢進症の治療をすると隠れていた腎臓トラブルが一挙に出てくることにもなりかねません。また、食べるのに痩せて来た。多飲多尿等は他の病気の事もあります。ご提案のありました歯の先を削るという方法ですが、根本的には治療したことになりませんし、飼えないよりはましと言った、最終的な手段と思います。

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山手先生の動物のこと 被災動物のこと

■ 地震による影響と対処法

質問:①今年で3才になるメス猫が我が家にいます。今回の震災があった日から少しでも揺れが起こると隅っこに入ったまま出てこなくなりすごく怯えてごはんも食べてくれません。どうしたらよいでしょうか?

②8才になるオスのチワワを飼っています。震災後からプルプルとずっと震えては、下痢を繰り返し、一時少し軟便に戻りましたが、余震が起これば下痢を繰り返しています。どうすればよいですか?

答え:雷等の音に慣れることは出来ても、地震の揺れに慣れるのは難しいようです。一番大切なのは飼主さんとの信頼関係です。不安に感じている様子でしたら、抱き上げて膝の上に乗せてあげたり、よしよしと優しく撫でてあげたりしてください。それでもだめな場合は、精神安定剤や、抗不安薬等を処方することもできます。下痢が止まらない場合も整腸剤や下痢止め等に併せてそのような薬を処方できますので、お早めに動物病院までご相談下さい。

また、高齢(だいたい6~7才以上)のわんちゃん、ねこちゃんの場合は、その裏に基本的な疾患が隠れている可能性もあります。症状が一向に治まらない場合は便を持参して一度診察を受けてみるのもいい機会かもしれません。高齢のわんちゃん、ねこちゃんには、ストレスが意外な方向で悪影響を及ぼしてしまうこともありますので、よく観察する事が大切です。地震のせいだろうと単純に思い込んでしまうと、重大な疾病を見過ごしてしまう可能性があります。大変な時期でもありますが、ペット動物は飼主さんが思っているよりデリケートです。神経質になる必要はありませんが、こまめなケアも必要です。がんばりましょう。

■ 東日本大震災の現状報告

3月11日の地震発生大津波による被災から2週間、遅ればせながら現地を視察する機会がありました。3月27日早朝、救援物資としてペットフードやおやつ1トンを積み盛岡を出発、宮古小学校、山田高校、大浦漁村の各避難所を視察しました。津波が襲った地域は壊滅的で町は消失し瓦礫の山となっていました。建物は残ったが浸水した地域も使えなくなった家具や電化製品、寝具等が道路に沿って積み上げられ異様な光景でした。人と一緒に避難した動物は命があったものの、水没した地域ではほとんど死亡したと推定されます。

避難所にいた犬も、まだ家がある方は自宅に連れ帰り、世話だけをしに帰っている飼主さんも多くあるということでした。私たちが訪問した際に外につながれている犬は皆無でした。室内犬では、避難所で一緒に生活をしている犬もいて、周囲の人たちのアイドルになっている犬も見受けられ、アニマルセラピーを実践されていました。一方で、動物が苦手という方々も同居されていますので、肩身の狭い思いをされている飼主さんもいらっしゃいました。

現時点では一次的な救護活動は必要なく、次の段階に入っていると思われます。(怪我や病気で困っている方はいませんでした。シャンプーや普段の手入れが出来ず体が匂う・痒がるなどの訴えはありました。他の人に気を使ってしまう)今後の取り組みとして、何ができるか?何をしなければならないか?拠点になる病院がしっかりと機能していることが重要で、そのサポートをしていく必要性は大いにあると思われました。

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山手先生の動物のこと ウサギのこと

■ 野ウサギのはなし 

日本のノウサギは南に棲むキュウシュウノウサギと北に棲むその亜種のノウサギは、生き延びる術として巣穴を持ちません。産まれてくる子供は生後1時間ほどで走り回れるほど成長した状態で生まれます。生まれた時から毛が生え目も開いています。子供の体重が大人と同じになるには生後10カ月程かかりますが、耳の長さは約3ヶ月、後ろ足の長さは約5ヶ月で大人と同じになります。天敵であるキツネ・ワシ・タカなどの捕食者から逃げるのに必要な部分が早く成長するためだと考えられています。夜行性で昼間は草陰などにじっと潜んでいます。

キュウシュウノウサギは普通夏も冬も茶色い毛が生えています。夏の毛色は茶色ですが北に棲むその亜種は冬には白くなります。これは毛の中が中空になり毛の中身が無くなるためです。毛の中の空気は保温の役目をします。白い毛は周りの雪に溶け込み保護色としても役立ちます。春から秋は主に草を食べますが、草などの食べ物が少ない冬時期は、枯れ草・笹・木の芽・木の皮などを食べています。食べる木は太さが決め手で、かじりとった枝の6~7割しか食べません。木の枝も(6mm以上の)少し太い枝は皮しか食べません。自然界では硬い物を食べるために歯が擦り減らないように上手く伸びます。

飼われているウサギでは配合食のペレットと人参やキャベツなどの軟らかい野菜ばかりあげていると、歯がどんどん伸びてしまう事があります。元々の食性・習性を良く考え飼育する必要があります。それが元気で長生きさせるコツでもあります。

■ ウサギとドクダミ

【問い】 うさぎのピヨンちゃん(3才位)は夏になると、庭でドクダミをやたらと食べています。そのおかげでこの子はとても元気なのかしら?それはそうと、ドクダミってウサギが食べても大丈夫なのでしょうか?(主婦)

【 答え】 ウサギは普通、毒草を見分けます。食べてもいい物と、そうでないものを本能的に食べ分けます。ドクダミには薬効成分が含まれるので量はそんなにあげない方がいいでしょう。(某獣医師談)そのうえ、いわゆる一丁食いを普通は避けます。つまり、ドクダミばかり食べるということはあまりありません。また、ウサギは少しくらい毒草を食べても吸収する前に盲腸で代謝されて、無毒にしてしまうすばらしい消化力を持っています。(ウサギに関する100問100答・野村潤一郎/メディアファクトリー)<情報提供 市川さん>

ウサギは草食動物の中でも、特に弱く、タヌキやキツネなどの肉食獣や、タカ、トビ、フクロウなどの肉食の猛禽類に狙われるなど、天敵が多く、その上、これといった武器や力を持っていません。しかし、類まれな身体能力と知恵を持つています。どんな動物でもそうですが、食べ物を食べている時は無防備で敵に狙われやすいので、ウサギは草を食べる時、耳を立てて周囲の音を警戒しつつ、後肢で立ち上がって食べます。こうする事で、少しでも視点を高くすることが出来、敵の接近をいち早く察知する事が出来るのです。

■ 野兎病(やとびょう・ツラレミア) 

野兎病は、古典的な人畜共通伝染病で人を始めとする100種類以上の野生及び飼育哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類がかかる細菌性の敗血症です。主な飼育動物の宿主は羊です。野生動物の宿主としてはウサギやネズミですが、細菌は媒介節足動物(マダニ)と哺乳動物、羊、鳥類、爬虫類、魚類の間を循環します。普通、野ウサギとの接触が原因で感染することが多く、料理、調理をするときに素手でさわったり、調理不適切なものを食べると危険率が高くなります。人から人へ直接感染することは無いし、飼いウサギに野兎病はありません。

原因菌はグラム陰性の桿菌francisella tularensisで抗原的にブルセラ菌と関連をもっています。芽胞を作らず、湿った環境下では数ヶ月も菌が生きていることがありますが、加熱や消毒剤で殺菌できます。日本では、1994年までに1372例の人の感染が報告されていましたが、それ以後ほとんど有りませんでした。発症すると、突然の高熱が続き、食欲不振、強直、咳、下痢、などカゼと似た様な症状になります。リンパ節が腫れ数日間から数日で死亡する(無処置だと15%)こともあります。

治療薬として、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、ドキンサイクリンなどの抗生剤が有効で、早期治療をすれば治ります。予防法としては、生ワクチンがあります、があまり使われていません。犬や猫には感染した死体を摂取することで感染します。基本的には、野生動物の死体を素手で触らない様にして下さい。食べる、特に生食は非常に危険なのでしないでください。

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山手先生の動物のこと 馬のこと

■ 乗馬のすすめ

岩手県は古くから馬産地として有名で、一昔前までは馬を飼っていた家も珍しくなく、子供の頃は馬にまたがって遊んだという方もいると思います。馬の背から見る景色は、視点が高く視野が広く格別です。また、手綱を取り足で馬を操ることで人の意思が馬に伝わり、人と馬が一体になれるというのも魅力のひとつです。

シニアの皆さんも乗馬に挑戦してみませんか。岩手県内には、初心者でも乗馬体験できる施設がたくさんあり、インストラクターが手取り足取り丁寧に教えてくれます。滝沢市砂込、アピオの隣にある「馬っこパークいわて」は、シニアに優しい、料金も格安なお試しコース、「シニアコース」が利用しやすくなっています。また、ハンディキャップのある方には、毎週水曜日の午前にセラピー乗馬も開催しています。

小中学生対象の乗馬スポーツ少年団は毎週土曜日に活動しています。心身ともに健康リフレッシュ効果があり、子供から高齢者まで年齢に関係なく楽しめるのが乗馬です。シニア世代の会員さんもたくさんいます。一度体験してみませんか。連絡は、馬っこパーク・いわて☎019-688-5290迄どうぞ。

■ チャグチャグ馬コのはなし

「岩手音風景」にも選ばれている、チャグチャグ馬コがまたこの夏もやって来ます。今年は震災の影響で警備が手薄になるということで、一時中止の話が出ましたが、実行委員会ある、チャグチャグ馬コ保存会の方達の熱意で、コースは短縮されますが、実施されることになりました。岩手県にいながらチャグチャグ馬っこを見たことがないという方がたまにいらっしゃってびっくりする事がありますが、ぜひ一度実際の馬の行列を見て頂きたいと思います。

チャグ馬は主として、「ブルトン種」や「ペルシュロン」といわれる大きな馬ですが、体重が1t程の「重種」という種類に分類されます。これらの馬は古くは、農業用・晩用に使われていた馬達です。現在ではもちろんこの用途に使われることはありません。チャグチャグ馬っこのお祭のためだけに365日馬の世話をされています。

最高は65回連続出場されている方もいらっしゃいますし、60回以上連続出場されている方も中にはいらっしゃいます。このお祭も高齢化の波が押し寄せて来ているのですネ。もちろん、この記録は一人で実現できることではなく、息子さん、お嫁さん、お孫さんと家族の力がなくては達成できません。行事を見ることで、この様なイベントを家族が支えているということがお分かりになるかと思います。

また、運が良ければ子馬の姿が見られます。皆、今年の春に生まれた離乳前の子馬です。休憩中に授乳するのを見れる事があります。ぜひ子供さん達に見てほしいです。私も行進に出場します。見かけたら声をかけて下さい。

■ 馬の腸とタイヤの話

今も、スタジオに来る時、車で雪の上を走れるのは便利だなと思いつつ、やってきたわけですが。自動車のタイヤを発明したのが獣医師だということはあまり知られていません。発明当時の自動車は木製の車輪に空気の入らないゴムだけを巻き付けたタイヤを付けていました。当時は道路も舗装されておらず、さぞかし乗り心地が悪かったと思います。

イギリスの獣医師、ダンロップ氏は馬のセン痛の治療中に、腸がポンポンに膨らむことをヒントにタイヤのチューブを発明し、現在のような乗り心地の良いタイヤを開発しました。草食動物は、腸がすごく発達していて、食べた草に含まれる硬い繊維も微生物を使って発酵分解し、細菌や原虫などの微生物を育て、その死骸を主としてタンパク質やビタミンなど栄養素として吸収しています。

グイッポといった空気を飲み込む癖のある馬では風気せんを起こすときも有ります。腸の病気になると、腸の内容物が発酵して風船を膨らませたようにパンパンになります。ダンロップ獣医師の発明で自動車のスピードが出せる様になり、乗り心地も大変良くなりました。自動車産業をはじめ、自転車や飛行機も飛べるようになりその恩恵を受けています。タイヤチューブの発明のヒントは、元は馬のお腹の病気だったなんてびっくり出すね。新しい事を発明する人の着眼点は凄いですね。

■ 馬のしっぽの話 

ポニーテールと言う女の子の髪型をご存知ですね。髪の毛を頭の後ろでひとつに束ねて、ふさふさと垂らしているあの髪型です。風にそよそよと揺れるポニーテールや、小走りに走ると左右に揺れるポニーテールは男の子にとって淡い思い出のひとコマであるかも知れません。このポニーテールという髪型は、馬と関係のある名前で、ポニーとは、日本語で小さな馬。テールはしっぽのことです。ですから、ポニーテールは”小さな馬のしっぽ”という意味になります。束ねて垂らした髪の毛が、小さな馬のしっぽのように見えるのでこの名前が付いたと思われます。

馬のしっぽは意外なものに使われています。バイオリンは4本の弦を、右手に持った弓でこすって音を出します。その弓の毛が、馬のしっぽで出来ているのです。走っている馬のしっぽは、風になびいてとてもきれいです。そのきれいなしっぽが、美しい音色を奏でるのに、役に立っているのはおもしろいですね。

ところで、馬のしっぽが長いのはアブやハエなどの虫を追い払うためといわれています。競走馬や乗馬ではしっぽを切りそろえたり、雨の日の調教では、しっぽが砂でどろどろで、洗うのが大変になるので短く結い上げる事も有ります。馬が走るとき、バランスを取るためにしっぽが必要だといった意見もあり、切ったり結ったりするのを嫌う調教師さんもいます。方向転換や疲れないよう肢の出す方を変えることを『手前を変える』といいますが、その時に微妙にしっぽを使っています。また、しっぽは感情を表すのにも役立っています。

いらいらした時や苦痛がある時はしっぽをバシッバシッと体に打ち付けます。かえしうまやレース中にしっぽをぐるぐる廻しているのはジョッキーに逆らっている事を表しているので、馬券の対象から外した方が言いかと思います。参考までに。

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山手先生の動物のこと 鳥のこと

小鳥の病気・カンジダ症

小鳥は簡単に飼えることもあり、昔から人気のある動物です。近年、ペットとしてインコを飼う方が増えてきています。しかし、鳥かごの掃除を怠ったり、餌の栄養バランスが悪いと、下痢をしたり落鳥することがあります。

小鳥の病気の中でも幼鳥に多い消化器病がカンジダ症です。その原因菌、カンジダアルビカンスは消化管内の常在菌で、菌数の増加や組織内への侵入により発病します。小鳥には、食道部分で食べた餌を一時的に溜めておく袋、そ嚢(のう)という器官があります。

カンジダ症は一般的にそ嚢炎が多く、元気や食欲がない、吐くなどの症状が出ます。まれに皮膚、嘴、脚などの外皮にも病変が現われ、極度に衰弱した鳥の場合全身性カンジダ症になることもあります。
発症の誘因となるのは、抗生物質の長期投与、劣悪な飼育環境、衰弱、ビタミンA欠乏などです。

治療として、抗真菌剤の投与を行いますが、ワクチンなどはありませんので、何よりも病気を誘発しないように気をつけましょう。動物を飼う時は飼料や飼育温度など、その動物本来の棲息状態に近い環境を作ることが大切です。

■ 鳥のヒナを拾わないで

4月から7月はえさとなる小虫や毛虫が多く、野生の小鳥たちにとって子育てシーズンの真っ盛りです。この時期には『鳥のヒナを保護したけれど、どうしたら良いのか?自分では出来ないので、面倒見てもらえないか?あるいは、そういったところはあるのか?』などの問い合わせが多くなってきます。巣立ちしたばかりのヒナは上手く飛べません。枝から枝へ移るときに地面に降りたりもします。可愛い・猫に食べられたら大変・車が危ないなど、つい手を差し伸べたくなりますが、ちょっと待ってください。近くに親が必ずいて、見守っています。可愛いから心配だからといってそばに居て見ていると、ヒナの親が近付けないのです。

自動車やネコ、カラスなど巣立ったばかりの雛にとって周りの環境は危険がいっぱいです。近くの木の枝先など、できるだけ危険が少なそうな所を選んで、とまらせておき、そっとその場を離れてください。巣から落ちた雛は出来れば巣に戻してください。戻せない場合や傷ついている場合は、野生動物保護指定を受け付けている動物病院や獣医師の元へ連れて行きましょう。県庁の環境課と連絡をとり、保護センターへ搬入します。野鳥は野生に帰すことを前提に考えています。

野生動物は原則法律で飼うことは禁止されています。野生の小鳥として生き延びるには自分で餌を取らなければなりませんし人になれていない(警戒心を持ちつづけること)ことが必要です。野生の小鳥の平均寿命は1年半ぐらいといわれています。冬の厳しさを乗り越えなければならないなど試練が多く、命を全うするのは生まれた雛の約1割と推定されています。またスズメの場合で、ヒナを育てるために、1羽につき2400回餌を運んだという記録があるほど、餌の確保を始め育てるのは大変です。生態系のバランスを保つ意味でも人の手は加えないほうがよいでしょう。

■ 鳥の卵づまり

春先になると、小鳥類(セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコetc)が、卵を産み出し、クロアカ(と呼ばれる総排泄孔)にひっかかり排出されないことが、たまにあります。小鳥の産卵孔は便や尿の排泄孔と同じになっているため、卵秘になると便の排泄が出来なくなることもあります。症状としては、元気・食欲がなくなり、羽を膨らませる膨羽の状態になり、放置すると、落鳥します。人の力で無理に出そうとすると、膣脱や脱肛を起こす事があり、非常に危険です。卵秘をくり返すと、卵管炎を起こしたり、卵管に腫瘍が出来やすくなります。

小鳥は、とてもデリケートな動物で、様子を見ている間に落鳥する率が高いので、異常を発見した時は、すぐに病院へ連絡し、来院して下さい。病院では、全身麻酔下で、殻を割って小さくし、かん子で摘出したり、薬品ですべりやすくし、排出させます。自宅で出来る事は、まず小鳥を暖め体力の温存を図り、自然な排出を促します。抗生剤、栄養剤の投与を行います。予防的には、産卵が始まると、産卵を中止させるため、ケージ飼いをしている人は、巣皿や、擬卵を入れ、抱卵させると良いでしょう。

インコ類は5~6ヶの卵を産むと産卵を中止するので、3週間ほど抱きヒナが孵らないと分かると、卵を放棄し、また次の産卵に備えます。次の産卵で同じような症状になり、卵秘が再開する事もありますが、同じようにやってみるといいでしょう。これを、産卵シーズンが終るまで繰り返します。また、軟卵の為に産卵できないときは、イカの甲カルシウム剤、ボレー粉などの他に、鶏卵の殻を砕き、すり鉢で粉にし、飼料に混ぜてカルシウムの補給をすると同時に、1日3時間以上の日光浴をお勧めします。

■ 鳥も鳥肌が立つのか? 

人は寒いと感じたり緊張したり恐怖を覚えたりすると鳥肌が立つことがあります。又感動した時にも精神的な緊張で汗腺が収縮し鳥肌が立つことがあります。人の皮膚には汗腺があり、それを開いたり閉じたりして汗を出す量を調節し、体温を一定に保とうとします。お風呂に入ったり、プールに飛び込むなど、急に寒冷を感じると、開いていた汗腺が急激に収縮し、鳥肌として認識されるのです。

一方鳥類には汗腺はほとんどありません。汗っかきのニワトリや小鳥がいないのはそのためです。鳥は元々汗腺がなく、体温調節のために汗腺を収縮させる必要がないので寒くても鳥肌が立つことはありません。鳥の体温調節は呼吸で行われます。気温の高いところでは口を開け(開口呼吸)ハァハァと呼吸し体温を逃がそうとします。又、寒い時は羽を膨らませ(膨羽し)体温の維持をしようとします。鳥は元々体温(普通で39℃ぐらいある)が高く、夏の暑い日に換気が悪いと熱中症になりやすいのはそのためです。

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山手先生の動物のこと ハムスターのこと

■ ハムスターを飼いたいけど…

①人にうつる病気をもっていないかが心配です。②うまく飼えるか心配です
※ 人獣共通感染症~可能性はありますが少数です。(なんらかの原因で免疫が抑制されている場合や幼い子供や、免疫抑制剤を服用しているなど特殊な場合は、飼育をあきらめなければなりません。)

人畜共通伝染病としては…・クリプトスポリジウム症~下痢、血便、無症状のことが多い 。・ジアルジア症 ・ナナ条虫症~腸疾患を起こす ・リンパ球性脈絡髄膜炎~発熱、頭痛、発疹、関節炎 ・レプトスピラ症・鼠咬症~発熱、点状出血、多発性関節炎 ・リングワーム~皮膚糸状菌症~疹 ・サルモネラ症~下痢・疥癬 ・エルシニア症です 。

※ アレルギーとしては… ・巣材や敷料のアレルギー ・尿やハウスダストがあります。 留意点は動物に触ったり掃除をする時マスク、手袋をすること。動物或いは敷料を触ったら手を洗うこと。風上ですること。野生時代の生活に近い環境を作ることが大切です。温度、湿度、食べ物、こまめに掃除 手入れをして 衛生的に飼いましょう。。飼いはじめたらすぐ健康診断・寄生虫検査を受けておくことが必要です。特に下痢、鼻汁を認目る場合は場合は購入を見合わせてください。衝動買いをせず、よく考えて、その動物について勉強してから飼い始めて下さい。

■ 学校でハムスターを飼いたい

質問:学校でハムスターを飼育したいと考えています。飼育ケージは上の方までプラスチック製で、上部の扉だけが網のものを用意しました。(小学校教師)

①下に敷く床材は、経費がかからない、新聞紙などになると思うのですが・・・ウッドチップはアレルギーの問題などがあると聞いていますし、他に紙をチップ状にしたものなども見かけましたが、どうなのでしょうか?・新聞紙でよいと思います。インクが悪いと言われますが、ウッドチップでは皮膚病になることもあり、一長一短です。巣の中は1週に1回以上清掃して下さい。(出来れば毎日でも可。)

②トイレの素材ですが、砂状で固まるタイプのものが便利そうですが、食べたり、手足について固まったりする事はありませんか? 固まる砂は、食べて腸内で固まり腸閉塞をおこして死ぬことがあります。また濡れていると手足にこびりつく事もあります。個体にもよりますが注意が必要です。

③主食はハムスター用のペレットですが、副食で与えるヒマワリの種の外袋に、殻をむいて与えて下さいと書いてある商品を見かけて、ちょっと驚いたのですが、その方がいいのでしょうか?固形飼料を毎日数個与え、他は煮干しや果物などの食べ物を与えて下さい。・ヒマワリの種の皮をむく必要はありません。ただし、古い物は、食べが悪いので人が食べて美味しい物を与えるようにします。冬にむけて栄養が必要な時は少し増量しますが、普段は一日に5~6粒で我慢させ、太らせないように気を付けてください。

その他:・冬も暖かく過ごせるよう局所暖房をして下さい。回し車は足が挟まらないようなタイプが必要です。上が空いているケージの場合は、回し車に登って壁を越えて逃亡する事があります。・ハムスターは湿気に弱いのと、清潔さを保つために筒の遊び道具は短めが良いでしょう。滑り台やはしごは運動になりますが、あまり高くすると落下事故につながります。水呑みはスポイト式がよいでしょう。子供に管理を任せるのではなく、責任と義務の元に良く観察するよう指導し飼育を楽しんで下さい。

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山手先生の動物のこと 野生動物のこと

■サルのお尻はなぜ赤い

寒くなるこれからの季節、温泉につかるサルの話題がよく出てきます。北限のサルと呼ばれるニホンザルは、人間以外の霊長類の中では最北の青森県脇野沢に生息しています。ニホンザルの外見上の特徴は、尻尾が短い事と、顔とお尻が赤いということ。そこだけ毛がなく皮膚が露出しています。

私たち日本人は当然のように、サルのお尻は赤いものだと思っていますが、世界中のサルの中で、お尻が赤いのはニホンザルだけです。ニホンザルは子どもの頃はお尻も赤くなく、肌色です。成長するにつれて赤みを増し、秋の繁殖期になるとさらに赤くなり、オスはメスをひきつけようとします。特にアルファーと呼ばれるボスザルの顔やお尻は、ほかのサルよりも赤くなります。

なぜなら、ニホンザルの目は、人間と同様に色を認識でき、赤く目立つ色をしているということは、ほかのサルに対し、「オレは元気で強いんだ」というアピールになります。赤ければ赤いほど、元気と権威のレベルが高いという意味があるわけです。

■  ゴンドウクジラの集団座礁

【ウェリントン21日AFP=時事】ニュージーランドのスチュアート島で2月20日、107頭のゴンドウクジラが海岸に打ち上げられているのが見つかった。 ゴンドウクジラは体長最大6メートルの小型の歯クジラで、ニュージーランド付近ではよく見られる種類。同国では多数のクジラが海岸に打ち上げられるケースがよくある。浜に打ちあがることをストランディングといいます。ストランディングの種類には、生きているイルカが打ちあがる「座礁」、生きていないイルカが打ちあがる「漂着」、本来の生活領域から迷い込んで来る「迷入」といった種類があります。

集団座礁とは、多数の生物が座礁することをマス・ストランディングといいます。集団座礁になる原因としては、リーダーが座礁すると仲間も座礁する、鯨は傷を負った仲間を置いて行くことができず、持ち上げるようにして泳ぐ、といったことが原因として考えられています。座礁の原因のほとんどは浅瀬に近づいて溺れてしまうからなのです。多くの場合はイルカの持つ磁気センサーと地磁気、海岸線との関係に複数の原因が絡んでいると見られています。他にも、溺れることを恐れて浅瀬に逃げ込むという理由も考えられています。

地形…波打ち際の泡が音波を撹乱、相殺させてしまう。地磁気…オーロラによって磁気嵐が起こるので、イルカの磁気センサーが乱れて陸地へ向かってしまう。サメ・シャチ…敵におそわれたときに浅瀬に逃げ込むため。網…刺し網漁に使っている網に絡まったため。音の妨害…潜水艦に使われているソナーの低周波がイルカやクジラの脳を壊す。イルカの病気…脳にすむ寄生虫が潜み、パニックになる。何かに対する恐怖,疾病,寄生虫による聴覚障害,地磁気の変化,海洋構造の変化,個体群の調節等,さまざまな説があるが,そのいずれも推測の域を出ていないのが現状です。クジラが海岸に乗り上げてしまう理由は科学者にもはっきりとはつかめていません。

■ 世界最大のネズミ、カピバラ

学生時代にアメリカの農業を体験しに行った時の話ですが、アメリカの農業といえば酪農・畜産や花卉・蔬菜です。日本と違うところは、家畜を飼うだけで無く、それらを飼育するための飼料も自前で作っているところです。私が行った農場ではとうもろこしの種も栽培していて、干ばつになっても種は取れるようにダムを持ち、灌漑(かんがい)もしているところでした。種とうもろこし用の畑には、半径が50m、直径が100mもある大きなスプリンクラーがいくつかあり、畑に水を撒いていました。そのスプリンクラーの直径が太いところで15cmくらい、先に行くほど少し細くなり、先端は5cmくらいの穴になっています。

ある日、その内の一端から水が出なくなり、修理のために分解したところ、そのホースに小型のスカンク“スビーキャット”が入り込んで水が出なくなっていました。アメリカ人のワーカーは何が起こっているのか分かるため、作業をする前から逃げ出しました。私も何やら変な匂いがしてきて逃げたい気持ちでしたが、私はパイプに詰まったスカンクを取ろうとして筒を逆にして反対側から棒を入れ何とか取り出しました。再び組み立てて修理を終えましたが、体中にスカンクの臭いが染み付き、家の中に入れてもらえませんでした。とにかく着ていたものは全て焼却し、シャワーにも入りましたが、強烈な臭いはとれず、その日はガレージで寝ました。

このスカンクやスビーキャットのニオイはタヌキやキツネのニオイより強く頭が痛くなるほどです。車でドライブしていると、時々、スカンクのにおいがしてくることがありますが、交通事故にあったスカンクの死骸が2~3Km先のこともあり、その凄さがわかります。

■  ホンシュウジカの生息圈 

日本には野生の鹿として、ホンシュウジカ(ニホンジカ)とニホンカモシカの2種類が生息しています。どちらも国の天然記念物として保護されており、頭数は増加の傾向にあります。保護の介あってか車で走っていると、道路の路肩や薮の中にニホンカモシカが時々見られるようになってきました。

一方、県南部・五葉山周辺のホンシュウジカは、07年3月末で3300~4600頭いると推定されています。元来ホンシュウジカの北限が五葉山とされ、ニホンカモシカは寒い山岳地方、ホンシュウジカは暖かい地方と棲み分けが出来ていましたが、最近の温暖化で(?)ホンシュウジカが岩手県内でも拡散し(08年6月11日岩手日報によると、)早池峰山周辺で目撃されたと報告されています。岩泉町北部・岩手町や盛岡市でもホンシュウジカが捕獲されています。

野性動物は増え過ぎると生態系のバランスが崩れ様々な問題が出てきます。ホンシュウジカの増殖に伴い、希少な高山植物や牧草の食害が懸念されています。ホンジュウジカの生息圏が北上・拡散すると、鹿の食べ物が競合し、ニホンカモシカの食糧が少なくなり、今後ニホンカモシカが衰退することも危惧されます。野性動物の保護には、自然を守り、環境を守り、生態系を守って行かなければなりません。

以前モグラや日本猿の生息圈が北上している話をしたことがありますが、平均気温の上昇が原因の一つとすると、野性動物の分布にまでこれほど急激に影響してきているのには驚きです。地球温暖化は、地球規模で考えなければならない問題と同時に、個人の普段の生活と深い関わりを持っています。岩手の豊かな自然を守るために、一人一人、何ができるのか考えなければならない時期に来ているのかも知れません。

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ヤギ・ヒツジの飼育 NEW

最近、ヤギやヒツジを飼いたいと相談を受けることがよくあります。おとなしくて雑草を食べてくれ、役に立つ動物というイメージがあるからでしょうか。ヤギやヒツジは牛の仲間、偶蹄類反芻動物、牛と同様に胃袋が4つあります。ヤギやヒツジは食べたものを一番大きな最初の胃で、発行・分解して微生物を培養、反芻し、もう一度別の栄養素に作り替えています。この大きな発酵タンクのおかげで、栄養価の低い草も良質の栄養素に変えることができ、そのほかいろいろなものが餌として利用できるのです。

しかし、原料になる草などの食物のバランスがよくなければ異常発酵したり、病気になることもあります。マメ科の草や穀物ばかりを与えてはいけません。もちろん紙を食べさせてはいけません。紙は消化しにくい繊維でできており、ほとんど栄養にならず、しかも紙にはヤギに有害なものも使われているからです。

またヒツジは春に毛刈りが必要です。そのまま放置すると皮膚が蒸れて湿疹になってしまいます。安易に飼い始めず、その習性や食生を考え、自分に合っているか見極めて責任を持って飼いましょう。

■ 牛の鼻紋

今までに動物の個体識別法をいろいろとご紹介してきました。今回は、牛の個体識別法です。牛では、西部劇によく出て来る烙印があまりにも有名です。烙印はイニシャルや数字を書いた鉄のコテを火の中で焼き、それを牛の臀部におしつけ火傷にします。火傷の跡がケロイドになり毛が生えなくなります。現在では、その残酷さからコテを液体窒素につけ、皮膚を凍傷させ烙印にしています。冷凍コテの後からは白い毛が生えてきます。現在日本では、乳牛や肉牛の耳に付ける(ピアス状の)耳標によって個体識別をしています。遠目にもよくわかります。個体識別をすることで両親や所有者がわかるようになっています。

また、日本では古くから、和牛の個体識別法として鼻紋を活用してきました。牛の鼻は大きく平べったく粘液で覆われています。その鼻の紋様は人の指紋のように一頭一頭違います。牛の鼻を拭き、スミをぬり、紙を押し付け、魚拓のように鼻紋を採取します。それによりこの牛の所有者・血統(父母)などがわかるようになっています。

特に肉用和牛は登録台帳がしっかりしていて、生後6ヵ月までに『子牛登録』をし、生後16ヵ月から32ヵ月で『基本登録』を行います。そのとき子牛登録と照合し、間違いないか判定されます。日本の肉用牛は登録(戸籍)を行い、由緒正しく、出所、育ちをはっきりさせています。和牛肉(例えば神戸牛や前沢牛など)もブランド化され、遺伝子レベルで判定される日も近いです。BSEに対して日本の肉が安全なのは、そのようなところからも裏付けられています。

■ 豚の嗅覚とトリュフ

トリュフは世界中を見渡しても人口栽培が成功していない貴重なキノコで、フランス料理に使われる珍味食材で、高級食材として知られています。トリュフは主にカシやクヌギなど広葉樹の根に育つキノコの一種で、土の中にあるため、発見が非常に難しいといわれています。

フランスではトリュフの採取に以前から豚を使っています。豚は嗅覚がとても優れた動物で、土の中にある食物、木の根やミミズなどを嗅ぎ出し、鼻をスコップの代わりに使って掘り出すことが出来ます。トリュフは雄豚の匂いがするので、雌豚は発情するとこの匂いを嗅ぎ出し見つけることが出来るのです。

■ 羊の話 

羊は草を食べる名人です。牛は草の上の方を食べ、馬は真ん中ぐらいまで食べます。牛や馬を放牧した後、ほとんど草が無くなって、何も食べれそうもない放牧地で羊は上手く草を食べることが出来ます。それは、短くなった草でも地面の間際まで食べることが出来るからなのです。又、木の葉を枝から食いちぎるのも上手です。これらの事から、羊の祖先は、食物の乏しい所に棲んでいたことが想像できます。

羊の上唇には縦に溝が入り、左右に分かれていて、それぞれを自由に動かすことが出来ます。これが羊の特技の秘密です。羊の門歯は、下側しか生えていません。これは、牛などと同じで、上側は固い歯茎になっています。歯と歯で齧るのでは無く、歯と歯茎で齧っています。羊の歯は中央から2本づつ、1年ごとに永久歯に生え変わります。このことにより歯から年齢を知る事が出来ます。

野生羊の毛は粗毛(ヘアー)で、皮膚に近い部分にだけ柔らかい下毛(アンダーコート)が生えています。今から8000年位前頃から、より多くのウールを取る為に、羊は改良され、体全体がウールで覆われるようになりました。羊の体には眼下腺、鼠径腺、前後の指間腺の3部位、8箇所に脂肪分の分泌物を出す脂腺があります。この分泌物は個体により臭いが異なり、羊が集団生活をする上で重要な働きをしています。

羊は、品種的には現在3000種類ほどいます。大きく分けると、肉用、羊毛用、その両方用に分けられます。気候、風土や草地などにより、もっとも適した品種がそれぞれ飼われています。羊の毛刈りは、羊の生産物の中では非常に重要です。常識的には春に毛刈りをすると思われていますが、最近では、初冬に毛刈りをすることも多くなってきました。(小岩井牧場談)理由は冬の間は、舎飼いをするので、藁ゴミ、脂、臭いが強くなります。

春から秋にかけての放牧中に、余分な脂が抜けていて、冬の前、舎飼いする時に毛刈りをすると、殆ど藁ごみが付いていません。良質な製品にするのに脱脂作業やゴミ取りで手間取ることがありません。脂も少なく、黄ばみや、臭いも少ないので、生産コストも少なくて済み、良質なウールが出来るというわけです。冬前に毛刈をしても舎飼いにするので、寒くはありません。

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■モモンガのはなし

モモンガ、ハリネズミ、チンチラ、テグーなどを飼う方が増えてきました。確かに人気になるのも納得のかわいらしい動物です。モモンガはクリクリとした黒目に、硬いホウキのようなしっぽを持つ、リスのような動物です。体の側面に飛膜があり、手足を広げ滑空することができます。

モモンガは、アメリカモモンガやタイリグモモンガなどのゲッ歯類、つまりリスの仲間と、フクロモモンガという有袋類に分かれます。このフクロモモンガはオーストラリア原産で、コアラやカンガルーと同様にお腹の袋、育児嚢で子供を育てます。モモンガは夜行性ですが赤ちゃんの頃から慣らせば手のひらに乗るなど、とてもなつきやすい動物です。

価格もそれほど高くないことから気軽に飼い始める方が多いようです。選ぶ時には目、鼻、耳、お尻、生殖器周囲に汚れがないこと、脱毛部がなく、毛に艶があること、全体的にふっくらしていること、元気良くしっぽを振っていることなどを確認してください。購入したら最後まで責任を持って飼ってほしいですね。

■ カタツムリの話

カタツムリは地球上に800~1000種いると云われています。その中でも食べられるカタツムリ(エスカルゴ)は4種しかいません。小さい物は1mmから大きなものは20cm、腹足を伸ばすと40cmほどにもなります。庭や畑などの土の中、湿った土の上、木や葉の陰に棲んでいて、一般的に、乾燥したところが嫌いで、雨の日や湿った場所を好みますが、砂漠など乾燥地帯を好む変わったカタツムリもいます。

カタツムリは雌雄同体で、一つの体でオスとメスの役割をします。しかし、卵を産むためには、やはり2尾で交尾をし、土中に産卵します。カタツムリの生殖器は顔の横頬の辺りにあるので、顔を押し付け合って交尾します。暑い日中は、カラの入口に(エピフラムと呼ばれる)薄い膜で蓋をして、体が乾くのを防いでいますが、空気を吸うための小さい孔は空いています。 5~7月頃にかけて、湿った土中や落ち葉の下、腐った木などに卵を産みつけます。子供は2~3週間で孵化し、3ヶ月くらいで大人になります。

卵から孵化したカタツムリの赤ちゃんは、孵化した時にはもうカラが付いています。生まれた時は1巻半ですが、成虫になるとカラの巻数は4巻半~5巻半となります。海の巻貝は海水からCa(カルシウム)を吸収し、カラを作る事ができますが、陸の巻貝であるカタツムリは石灰質の石から吸収します。口内にはやすりの様な小さな歯のついた舌(歯舌)があり、葉や野菜の表面を削り取りながら食べます。

カタツムリは水の中に棲むサザエやタニシと同じ巻貝の仲間で、陸上生活をするようになった種類です。海岸の波しぶきがかかる場所には、キクノハナガイやカラマツガイなどの傘形をした貝がよくみられます。これらはカタツムリに近い種類といえます。動物の進化、分化は不思議で興味深いですね。

■ カブトムシとクワガタの話

カブトムシとクワガタはどちらが強いか?人気のある甲虫類で男の子達にとっては永遠のテーマですね。喧嘩早いのも人気の秘密かもしれません。6~9月に成虫が見られるようになります。これら甲虫類はクヌギやコナラの甘い樹液を求めて集まってきます。樹液にはカブトムシ・クワガタの他カミキリムシ・カナブン・スズメバチ・蛾・蝶なども集まってきます。樹液に集まる虫には力の強弱の順位によりメスの独占権があり、力が同じぐらいなら早い者勝ちで、譲らない場合は争いになります。この樹液を独占することで、メスの愛を獲得し、交尾をすることによって自分の子孫を残すことが出来るのです。

昆虫は体の割りに力が強く力持ちです。例えばアリは体重の50倍ミツバチは300倍カブトムシは100倍クワガタは150倍の物を動かしたり持ち上げたりする事が出来ます。熱帯地方にいるサイコガネは体重の850倍の重さのものを背中に乗せて運ぶ事が出来るとギネスに認定されています。カブトムシは6本の足全てに鋭い爪があり、木の幹に食い込ませて踏ん張り大きな力を発揮します。

さて、どちらが強いかということですが、カブトムシは相手を跳ね飛ばして勝負を決めるので、普通は角を相手の体の下にうまく入れた方が勝ちます。体の大きさも重要ですが、それよりもむしろ技が必要です。クワガタは跳ね飛ばしの決まり手だけでなく、クワで相手を挟み、投げ飛ばしたり、そのままクワを絞め続け首を切り落とすこともあります。結果、対戦相手が死ぬなんてこともあります。

ちなみにメスは喧嘩をしません。カブトムシは体長4~8cm体重10gで角を含めると日本で最大の昆虫です。一方、クワガタは体長4~7cm体重3~5gと小柄ですが、力はカブトムシの1.5倍もあるのでクラス別の組み合わせでは、クワガタの方が強いと云えそうです。但し、実際の場面ではカブトムシの方は体が3倍ほど大きい分、樹液を独占できる可能性は高そうですね。

■ クジラの話 

大昔、魚類の中から両生類が生まれ、動物は初めて陸に上がり、それから爬虫類、鳥類、哺乳類へと進化しました。今から、4700万年前の大昔のクジラ(アンブロセタス)はなんと四本足で陸上を歩いていました。水辺で暮らしながら、足には水かきを持ち、水中を泳いでいたのです。そして3800万年前のドルドンは、前足はヒレになり、後ろ足は小さくなり、アザラシやアシカに近い形になっていきました。その化石を分析して鼻の穴が徐々に頭の上に移動したことも判ってきました。

クジラの潮吹きの噴気孔(呼吸孔)は、イルカやシャチのような歯イルカの仲間は穴が一つで、シロナガスクジラなど髭クジラの仲間は二つあります。クジラの潮吹きは噴気孔の周りの少しの水と、体の中で温められた湿った空気が一気に冷やされ水蒸気となり白く見えるものです。

クジラは哺乳類に分類されています。魚との違いは①肺を持ち、水の上で息をする。(魚はエラ呼吸)噴気孔は息がしやすいように頭の上にある(潮吹き)②体の中に前足の骨が残っている(魚のヒレには骨がない)後足の骨はなくなったものの、前ヒレには小さな骨が残っている③体温がいつも同じ(魚は周りの水温で変わる)35~37℃ 皮下脂肪が厚く 寒さから身を守っている④体を上下に曲げて泳ぐ(魚は左右に曲げて泳ぐ)背骨の仕組が上下(前後)に曲がりやすくなっている⑤子供を産んで母乳で育てる(魚は母乳を出さない)つまり体内で育ち、母親と同じ形で産まれ、母乳で育つなどです。

哺乳類のクジラが水中に潜っていられる時間はと言うと小型イルカで数分しかなく、シロナガス、ザトウクジラで15~20分程と以外に短いです。ただし、マッコウクジラは40分、長いときは1時間以上も潜水が可能で、水深3000m位まで潜りつづけることが出来ます。クジラには哺乳類の特徴である体の毛がほとんど無いのは水中生活に適応したためと考えられています。

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■ 誤飲・誤食について

最近多い事故の中で、食べてはいけないものを誤って飲み込んだり食べてしまうケースがあります。誤飲や誤食の原因は、盗み食いや拾い食いなどが主な原因です。散歩中に落ちているものを食べてしまったり、串付きの焼き鳥や、ネギなどの中毒物質を与えることなどで起こります。また、子供の玩具などに興味を持って口にして飲み込むこともありますし、縫物をしている時糸の先についた針を飲み込むこともあります。

うっかり落とした人の薬を誤食すると大事に至ることもあるので注意が必要です。犬のいない場所で飲むことが望ましいでしょう。万一誤食をした恐れがあるときは、一見大丈夫そうでも、あとから中毒症状や嘔吐などの症状が出る事もあるので、動物病院に連絡し、指示を仰いで下さい。症状が出る前に処置できればそれに越したことはありません。飲み込んだものがわかっている場合は獣医師の指示のもとで吐かせることもあります。飲み込んだものと同じ物があれば病院に持参して下さい。
 
吐かせるには、吐剤を飲ませたり、注射などを使います。吐く事事態が危険なものもあります。針・串・つまようじ・種・靴下・糸やひも・タオルなど、気道をふさぐ大きなもの、食道や腸を傷つける尖ったものや繊維類を誤食したときはむやみに吐かせると危険です。必ず病院へ連れて来て下さい。

誤食を予防するには、普段から飼主さんの与えた物以外は口にしないと云った習慣をつけておく(=訓練しておく)こと。また、口にしたら危険なものが動物の届く範囲にあるときには避けておくことや、別部屋に移動させるか、クレートやハウスに入れて、誤食をさせないようにすることが大切です。少しの不注意が重大な事故につながる事があります。ご注意ください。

■ ペットを飼ったら終生飼養する

子犬を購入した人の5人に1人は、2年後にはもう何らかの理由でそのイヌを飼っていないという、悲しい報告が米国でありました。動物愛護を目的とする慈善団体「RSPCA」は、飼い犬に対する責任や一生面倒をみるために必要な費用などを考慮せず、「子犬がカワイイ」というだけで安易に購入する飼い主が多いことを懸念。「自分にあったイヌの選び方」を指導するキャンペーン『Get Puppy Smart』を開始した。「デイリー・テレグラフ」紙が伝えています。

また一方で、保健所には、飼い犬や飼いねこが飼えなくなったので引取って,という連絡が絶えません。聞けば,様々な事情がある方もいます。不況や高齢化は,ペットの命にも確実に影を落としています。しかし、引取った動物をすべて保健所で飼うことはできません。飼い主から引取った犬やねこは,原則殺処分になります。

犬やねこは私たちの生活に潤いと安らぎをもたらしてくれる存在です。ペットショップやテレビなどでかわいい姿を見ると,かわいい!飼いたい!と思うでしょう。ただし,動物を飼うということは,その一生を預かる責任を負わなければなりません。毎日食べ,排泄し,眠り,運動し…その世話は10年,15年と休みなく続きます。

また,病気になれば医療費がかかります。毎日の世話,住居環境,経済的状況など将来を考えたとき,もしも不安や不確定要素があるのであれば,「飼わない」「飼えるようになるまで我慢する」という判断をするのも,動物への愛情です。飼う前に,もう一度よく考えてみてください。本当に,飼えますか?そして,現在動物を飼っている方は,愛情と責任を持って,一生かわいがってください。 

■ 火傷について 

犬は暖かい場所が心地よく、好きなのでヒーターの前で毛が熱くなっているのに、気持ちがいいあまりに寝続けて低温やけどをしたり、ストーブへの接触や、ストーブの上のやかんの熱湯をかぶってやけどすることがあります。特に、熱さへの感覚が鈍ってくるシニア犬はやけどをしていることに気づきにくいので注意が必要です。

 犬の体の半分以上がやけどをすると死亡する危険があります。熱湯をかぶるなど、広範囲にやけどをした場合にはすぐに病院へ連れて行きましょう。そのほかは水や氷で冷やし様子を見てください。水で冷やす場合は、水道水やシャワー、バケツの水などで患部を10分くらい冷やします。保冷剤や氷で冷やす場合は、体との間に薄手の布を入れて冷やします。冷凍食品で代用も可能です。

夜間なら朝になってから受診をしましょう。やけどを予防するには、時間を決めてヒーターのスイッチを切ったり、犬をハウスに入れるなどして、一旦ヒーターから離すようにすると良いでしょう。犬はヒーターの前で一度寝てしまうと、なかなか自分から移動しようとしません。飼主さんが気づいてあげることが大切です。また、石油ストーブなど触れると危険な暖房器具には柵を立てるなど近づかせないことも重要です。

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山手先生の動物のこと 人畜共通感染症のこと

マダニ媒介ウイルスがペットから人に感染したはなし

マダニは原虫やウイルス、リケッチア、細菌などさまざまな病原体を人や動物に媒介することがあります。マダニの唯一の栄養源は動物の血液でその吸血の際に感染します。幼ダニ・若ダニは発育・脱皮のため、成ダニは産卵のために吸血します。ダニが媒介する感染症で有名なのは、ライム病と日本紅斑熱(ツツガムシ病)が有りますが、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は治療薬が無いという厄介なウイルス性の病気です。

厚生労働省によりますと今年2017年6月上旬、徳島県に住む40代の男性がペットの犬の体調が悪くなった為動物病院を受診したところ、マダニが媒介するウイルスによる感染症、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を発症していたことが判りました。さらに飼い主の男性も6月下旬に体調不良となり、その後の検査で同じウイルスに感染していたことがわかりました。男性にはマダニにかまれた痕跡はなく、厚生労働省は男性がペットの犬からウイルスに感染したと断定しました。

厚生労働省によりますと、SFTSは4年前に国内で初めて確認され、これまでに303人が発症し、このうち59人が死亡していますが、ウイルスがペットの犬から人に感染したことが確認されたのは国内で初めてだということです。男性とペットの犬は現在では共に回復しているということです。また、7月には、猫にかまれた女性が、マダニの感染症で死亡していたことが判明しています。そのウイルスが猫にも存在していたのです。

厚生労働省は体調不良のペットとの過剰なふれあいを控え、ペットの体調が悪い場合は直ちに動物病院を受診するよう呼びかけています。もちろんマダニに直接咬まれても感染の機会があります。オーストラリアでは任意ですが、SFTSの予防接種を呼びかけています。4~7年位ごとに再接種を公に推奨しています。部屋にマダニが落ちていたり、飼い主が農作業していてマダニに咬まれたり、子供の耳にマダニが咬みついていたなどがあります。マダニに咬まれても当人や家族が気付かないこともあります。

秋は幼ダニが多く見受けられます。フィラリア予防薬と同様、ダニの予防薬を忘れずに投与してください。

■ 豚肉から人へE型肝炎が感染

人のE型肝炎は肝炎の中では比較的臨床症状に乏しくおとなしい肝炎と言われていますが、妊婦などではたまに重症になる可能性があり、死に至る事もある怖い病気です。人では汚染された水を介して感染することが多く、特定の地域で風土病として報告されていました。最近の新聞に焼肉店で、豚の内臓肉(レバーやモツ)を食べた人達が、豚肉からE型肝炎に感染した可能性があり、その内の一人が劇症肝炎を起こし死亡した記事が載っていました。以前、野生の鹿やイノシシから、人への感染をとり上げた事がありますが、あくまでも、野生動物からの感染として報告されたものでした。

今回は 家畜として飼われていた豚から、肉を介して人に感染した事が、今までと全く違うところなのです。豚は動物の中では比較的綺麗好きな方に分類され、トイレと寝るところはしっかり分けると言った習性を持っています。それでもウイルスに汚染された糞尿が経口的に入って感染してしまいます。

豚のE型肝炎は豚の中では割合多い病気で、約半数の豚が高い抗体価を持っています、つまり感染したことがあると言われています。E型肝炎は豚では症状がほとんど無く、しかも出荷される頃(生後約半年・体重110~120kg程)にはウイルスが体に残っていることもほとんど無く、今回の様に肝臓にウイルスが残ることは稀だと言われています。また、岩手県では(特定の病原菌に汚染されていない・E型肝炎は残念ながら保証されていませんが)SPF豚の生産もされています。

E型肝炎が感染するには大量のウイルスが必要で、また調理の際に火を通せばウイルスを死滅することができることが知られています。この報告を気にして焼肉を食べないなんて言い出す必要は無さそうです。ただし、焼肉を食べるときは、豚の内臓肉の生食を避け、特にレバーは充分火を通して食べる様にしてください。

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山手先生の動物のこと 夏の対策

■夏バテに潜む病気に注意

朝夕の涼しさと日中の残暑の中で、夏の疲れが蓄積されてくるこの時期、夏バテや夏負けといった症状が、動物にも出てきます。しかし、単なる夏バテと思い込んでしまうと、重大な病気を見過ごすことがあり注意が必要です。体がだるく、元気や食欲がないという症状は、どの病気にも共通します。

熱中症や貧血、心不全、呼吸器不全、肺水腫など、また痛みのある場合は呼吸が速くなります。多量に水を飲む時は、子宮蓄膿症や腎不全、糖尿病、尿崩症、クッシング症候群など、放置したり処理が遅れると命に関わる危険な病気も多くあり、油断大敵です。

日中も涼しく過ごすために、日陰を作り風通しを良くすること、周囲にハエや蚊を発生させない工夫をすること、などの対策も大切です。また、少量でも十分な栄養が取れるように、新鮮で栄養価の高いバランスのとれた食餌を与えましょう。散歩の時間は、気温だけでなく、路面の温度にも注意し、涼しい早朝や夜に行くのがおすすめです。特に高齢犬には注意を払い、様子がおかしいと思ったら、動物病院で受診するようにしてください。

■ 熱中症について

熱中症(熱暑病)は種々の原因で体温調節が出来なくなり、体温が高くなる病気です。どの様な病気も罹ってからあわてるのではなく、罹る前に予防する事が大切です。オーナーはペット動物の生い立ちや習性、行動を学び、理解し、配慮することが大切です。

(人・馬以外の)動物は一般的に汗腺が発達していません。このため、人の様に汗をかいて体温調節をするということが出来ません。動物は高くなった体温を、肺や気管から呼吸によって外へ逃がします。これを気道蒸散と言いますが、これが出来にくい条件になる、つまり(気温30℃・湿度90%以上の)高温・多湿・無風状態が一番堪えます。

飼主が不在の時や、見守れない時間帯は気温や湿度、通風など、快適な環境を用意する必要があります。エアコンなどで調整するのが一番簡単ですが、全てのケースに適応する訳ではありません。扇風機も有効です。風は間接的に当る方が優しいでしょう。換気扇を使う時は風が入ってくる開口部を確保し、通風を考えて下さい。外犬では夏の間、日当たりのいい南側から北側の日陰に移して下さい。外出時には短時間でも車内に放置するのは非常に危険です。散歩は地面が熱くなる時間帯を避け、早朝と日没後、極端な話、夜になってから行なって下さい。アスファルトは非常に高温になります。犬が歩いているところは人が感じるより2~3℃高いと思って下さい。

熱中症の症状としては、ぐったりして動かない、涎を流す、呼吸が速く苦しそう、目が充血しているなどです。緊急処置としては、体温を下げる事を念頭に置きます。体を濡れタオルで包み風を当てるのは有効です。また、頭・腋の下・内股部を保冷剤で冷やすなどは効果的です。冷水浴をする場合は30℃ぐらいの水(夏のプールの温度)に漬けるといいでしょう。低すぎるのはいけません。熱中症では、急激に体温が上がり、体の様々な調節機能が不全を起こし、命の危険もあります。放置すると時間の経過と共に体温が下がっても、多臓器不全やショックで死亡することもあります。ご注意下さい。熱中症になっているのを発見した場合は、大至急病院へ連絡し、指示を仰いで受診して下さい。 

■ その子、本当に夏バテ?

お盆を過ぎると岩手の短い夏も終盤です。暑い盛りを過ぎ朝夕の風が少し涼しく感じる頃に夏バテはやって来ます。つまり、夏の疲れが出て来ることを夏バテと言っています。夏の間は暑さで食欲が落ち、水も多く飲みます。胃腸にかかる負担が多くなる上、食べる量が少なくなるので、十分な栄養が摂れていません。 特に、高齢動物では、影響が大きく、暑さ寒さは大きなストレスになります。「去年までと同じようにしていたのに・・・」といった後悔はしないようにしたいものです。

夏バテを乗り切るためには、新鮮でバランスの良い食事は欠かせません。消化吸収の良い、栄養価の高い食べ物が必要です。犬ではいつもの食事にレバー・牛肉・豚肉などを与えるのもいいでしょう。また、食欲のない状態が続いたり、水をたくさん飲む場合は、糖尿病、腎不全、子宮蓄膿症、副腎皮質ホルモン機能亢進症など重大な病気に罹患している事もあり、注意が必要です。飼主さんの勝手な判断で「単なる夏バテだろう」と思い込まないで、動物病院を受診してください。

■ 夏の管理のポイント 

今年の夏は記録的な暑さになりそうです。病院には熱中症の急患で来る子が増えています。熱中症(熱暑病)は内的、外的な種々の原因で体温調節が出来なくなり、体温がどんどん高くなります。北方系の動物、犬や森林で暮らしていたリスなどはもちろん、南のほうからきた動物でも穴にもぐって暮らす動物、ハムスターなども弱いです。犬など汗をかかない動物は呼吸で体温を放散します。

野生時代に暮らしているときは、涼しく過ごしやすいところに移動し、逃げることが出来ました。今はつながれたり閉じ込められた空間で暮らしているので、それができません。人から与えられた空間でしか暮らせないので人の責任が大きいのです。

温度、湿度、通風、換気に気配りして下さい。直射日光をさえぎるよしず、すだれ、カーテンなどを利用しましょう。日の当たる窓際にはおかないでください。クーラーによる温度設定、除湿のみでもOK。換気扇を使い窓を少し開けておくのもよいでしょう。扇風機など直接風を当てないようにして下さい。快適に過ごせる環境作りが必要です。その動物のペットとしての生い立ちや習性、行動を学び、理解し、配慮することが大切です。動物の気持ちになり、ともに快適な夏を過ごしてください。

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山手先生の動物のこと いろいろな話

■高齢者のペット飼育

ペットを飼いたいという思いはどの世代でも変わりありません。しかし、社会の構造変化を受け、犬の飼育頭数が減り、猫や他のペット頭数が増えて来ています。60~70代の飼い主さんにとって飼い犬の死亡後、次の犬を飼うのをちゅうちょされることが一因と考えられます。

高齢者のペット飼育で考えられる問題点は、自身の入院などで飼えなくなったペットの引き取りの増加、ペットが死んだ際の飼い主さんのペットロスなどがあります。最近はさまざまな代行サービスやペットと暮らせる老人ホームなど、支援の仕組みも出来てきました。また、高齢者には、仔犬ではなく保護された成犬を飼うことをお勧めします。万が一に備えての遺書や後見人を決めておくことも大切です。

子どもが独立し、仕事も引退した後の第二の人生を考えると、ペットは新たな家族として、心身ともにいい存在となるでしょう。老人施設やマンションなどでは、小鳥や金魚、ハムスター等もいいと思います。一考してはいかがでしょうか。

■ 鍼治療について

問い:先生の所で鍼灸治療をされていると聞き、3才になるフレンチブルの事で御相談致します。5ヶ月程前から後肢が麻痺し、現在はほとんど歩く事ができません。かかりつけの動物病院で二分脊椎症と診断されました。麻痺の改善に鍼灸治療は効果があると聞き及んでいますが、この様な麻痺にも鍼は効くのでしょうか?

答え:症状から推察いたしますと、脊柱管の中を走る神経に、圧迫や血流障害など何らかのトラブルが有ると思われます。鍼灸治療により、二分脊椎症そのものは治るわけでは有りません。良くなるとすると原因はそのままに、症状が軽くなっていきます。治療の性格上、効果が不確かな事と、原因の治療はされていない訳ですので、一旦良化しても患部に新たなダメージが加われば、症状が再燃する事もあります。

鍼灸治療には、組織や体全体の自然治癒力を引き出し、促進する働きが有ります。局所的には、消炎鎮痛効果により、腫れが引け、血流が改善されます。また、鍼灸治療で様々な生理活性物質が体から放出される事が分かっています。そう言った部分で効果が期待出来ます。 松園動物病院と南大橋動物病院では、鍼治療の他、近赤外線(スーパーライザー)による治療も行っています。ご相談下さい。

■ 卵は栄養の宝庫

鶏卵は物価の優等生と呼ばれ、価格が安定していることと、栄養価が高い事で有名です。日本は、メキシコ、中国に次いで世界第3位の卵消費国でもあります。一時、卵を食べるとコレステロールが高くなり成人病になるなどと云われ敬遠されたことがあります。コレステロールは善玉コレステロールと呼ばれるHDLと悪玉コレステロールと呼ばれるLDLがあります。

卵の白身にはHDLが豊富に含まれ、血管にこびりついたり血液に貯まったLDLをはがしてくれる働きがあり、余分なコレステロールを肝臓に貯める働きをしてくれます。LDLは悪玉コレステロールと呼ばれ、血管壁にくっつき、血液の流れを悪くし、高血圧、心臓病、脳溢血など成人病の根源になります。卵白に多く含まれるシスチンはLDLを下げる働きをし、LDLを分解し血液をサラサラにしてくれます。

一方卵黄にはLDLが多く含まれるので、食べ過ぎてはいけません。一日に1~2個食べることをお勧めします。また、卵の黄身に付いているカラザと呼ばれる白いヒモにはシアル酸が多く含まれています。シアル酸とは、細胞表面の糖鎖末端に存在する糖の一種(酸性糖)で、人の細胞のほかに、母乳や卵などに存在しています。シアル酸は抗インフルエンザ薬としてしられるリレンザにも入っています。

その機能を簡単に述べるとすれば、「細胞の表面に存在することで、細胞に何かがくっつくときにこれを介する働きをする」ということです。 シアル酸を含む糖鎖は、細胞と細胞の情報伝達や、何かが細胞につくときの「レセプター(受容体的機能)」といった機能を果たしています。つまり、ウィルスや細菌などが細胞に感染する際にも大きく関係しているのです。

母乳中にも含まれていますが、特に出産後10日目までの初乳での含有量が多いことが報告されています。これは、新生児の未発達な免疫機能を補ったり、あるいは下痢などの症状の主要な原因と考えられているウィルスなどに対して感染防御作用を担ったりと、乳幼児の健康維持に重要な役割を果たしているのです。

また、シアル酸は脳や中枢神経系に特に多く含まれており、その含量は乳幼児がもっとも多いと言われています。これは、シアル酸が脳の発達に非常に大きな役割を果たしているからです。卵は小さい中にすごいパワーを持っているのですね。

■ 「乗馬とアニマルセラピーを考える会」を設立した目的 

岩手には、人と馬の長い、長い歴史があります。かつて、馬は生活文化を共に築いた家族でした。数少なくなった県内の馬の飼い主に、なぜ馬を飼っているのか聞いてみましたら、全員から、『馬が元気をくれるからだ』また、世話が大変ではないですか?と聞くと『それが楽しいですよ』という答えが返ってきました。皆さん若々しく、元気いっぱいでした。

最近よく、アニマルセラピーが話題にのぼりますが、動物を見たり、動物に触れあったり、動物を育てたりしていると、不思議と心が安らぐ事があります。それが生活の質を高めるのに役立つことが科学的にも証明されてきました。例えば、動物を飼うことがこども達の精神的、社会的成長を促し、動物と触れあうことが障害を持つ人々の機能の回復に役立ち、動物と交流することがコミュニケーションを改善して精神生活の安らぎを生むといわれています。これがアニマルセラピーと呼ばれるものです。

古くから馬と共に生活の歴史を刻んできた岩手には、まだ、人と馬の美しい関係が残っています。馬が元気をくれる-この関係こそが、ホースセラピーの本質です。この関係に新しい息吹を吹き込み、毎日の生活をより豊かにしよう。そんな願いから、この会が設立されました。

【活動の内容】
「乗馬とアニマルセラピーを考える会」の会員は、岩手県が設立したポニースクールの趣旨と意義に共鳴し、これを存続させるための活動を展開しています。ポニースクールを存続させることは、岩手伝来の馬文化を支えたこころを継承することです。文化・教育・福祉・医療・スポーツ・観光に関することなどを自治体、馬事関係者、獣医師会、岩手大学地域連携、アニマルセラピー研究会、人と動物のこころ研究会など、諸々分野からこの活動に関心を持つ関係者が集まり、「ホースセラピー懇話会」を開催し非営利特定法人として立ち上がりました。そしてポニースクールを乗馬とアニマルセラピーに活用するために様々な方がボランティアとして参加しています。

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