渡り鳥と鳥インフルエンザ
オオハクチョウやマガモなど、日本で越冬する渡り鳥が今年も飛来してきています。日本で見られる鳥のうち、4分の3が渡り鳥です。国境がなくグローバルに移動する渡り鳥が、高病原性鳥インフルエンなど人間にも感受性のあるウイルスを持ち込む可能性もあるので、この時期は特に注意が必要です。
衰弱または死亡した野鳥には素手で触らない。野鳥の排泄物に触れた後は、手洗いとうがいをする。靴の裏や車のタイヤに付くと、病原体を他の地域へ運ぶことになるので、踏まないように注意し、餌やりはしない、など野鳥への接し方を考えて行動してください。
養鶏所以外にも、学校や一般家庭で、鳥類を外飼育している場合も要注意。外からの侵入を防ぐ防鳥ネットの設置や消毒用の消石灰の散布、飲み水は水道水を使用するなどの衛生対策を心がけましょう。日常生活で過度に心配する必要はありませんが、衰弱または死亡した野鳥を見つけた場合は、岩手県央保健所に連絡し、対処の指示を受けてください。詳しくは岩手県のホームページの「鳥インフルエンザ情報」をご覧ください。
小鳥の病気・カンジダ症
小鳥は簡単に飼えることもあり、昔から人気のある動物です。近年、ペットとしてインコを飼う方が増えてきています。しかし、鳥かごの掃除を怠ったり、餌の栄養バランスが悪いと、下痢をしたり落鳥することがあります。
小鳥の病気の中でも幼鳥に多い消化器病がカンジダ症です。その原因菌、カンジダアルビカンスは消化管内の常在菌で、菌数の増加や組織内への侵入により発病します。小鳥には、食道部分で食べた餌を一時的に溜めておく袋、そ嚢(のう)という器官があります。
カンジダ症は一般的にそ嚢炎が多く、元気や食欲がない、吐くなどの症状が出ます。まれに皮膚、嘴、脚などの外皮にも病変が現われ、極度に衰弱した鳥の場合全身性カンジダ症になることもあります。
発症の誘因となるのは、抗生物質の長期投与、劣悪な飼育環境、衰弱、ビタミンA欠乏などです。
治療として、抗真菌剤の投与を行いますが、ワクチンなどはありませんので、何よりも病気を誘発しないように気をつけましょう。動物を飼う時は飼料や飼育温度など、その動物本来の棲息状態に近い環境を作ることが大切です。
鳥のヒナを拾わないで
4月から7月はえさとなる小虫や毛虫が多く、野生の小鳥たちにとって子育てシーズンの真っ盛りです。この時期には『鳥のヒナを保護したけれど、どうしたら良いのか?自分では出来ないので、面倒見てもらえないか?あるいは、そういったところはあるのか?』などの問い合わせが多くなってきます。巣立ちしたばかりのヒナは上手く飛べません。枝から枝へ移るときに地面に降りたりもします。可愛い・猫に食べられたら大変・車が危ないなど、つい手を差し伸べたくなりますが、ちょっと待ってください。近くに親が必ずいて、見守っています。可愛いから心配だからといってそばに居て見ていると、ヒナの親が近付けないのです。
自動車やネコ、カラスなど巣立ったばかりの雛にとって周りの環境は危険がいっぱいです。近くの木の枝先など、できるだけ危険が少なそうな所を選んで、とまらせておき、そっとその場を離れてください。巣から落ちた雛は出来れば巣に戻してください。戻せない場合や傷ついている場合は、野生動物保護指定を受け付けている動物病院や獣医師の元へ連れて行きましょう。県庁の環境課と連絡をとり、保護センターへ搬入します。野鳥は野生に帰すことを前提に考えています。
野生動物は原則法律で飼うことは禁止されています。野生の小鳥として生き延びるには自分で餌を取らなければなりませんし人になれていない(警戒心を持ちつづけること)ことが必要です。野生の小鳥の平均寿命は1年半ぐらいといわれています。冬の厳しさを乗り越えなければならないなど試練が多く、命を全うするのは生まれた雛の約1割と推定されています。またスズメの場合で、ヒナを育てるために、1羽につき2400回餌を運んだという記録があるほど、餌の確保を始め育てるのは大変です。生態系のバランスを保つ意味でも人の手は加えないほうがよいでしょう。
鳥の卵づまり
春先になると、小鳥類(セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコetc)が、卵を産み出し、クロアカ(と呼ばれる総排泄孔)にひっかかり排出されないことが、たまにあります。小鳥の産卵孔は便や尿の排泄孔と同じになっているため、卵秘になると便の排泄が出来なくなることもあります。症状としては、元気・食欲がなくなり、羽を膨らませる膨羽の状態になり、放置すると、落鳥します。人の力で無理に出そうとすると、膣脱や脱肛を起こす事があり、非常に危険です。卵秘をくり返すと、卵管炎を起こしたり、卵管に腫瘍が出来やすくなります。
小鳥は、とてもデリケートな動物で、様子を見ている間に落鳥する率が高いので、異常を発見した時は、すぐに病院へ連絡し、来院して下さい。病院では、全身麻酔下で、殻を割って小さくし、かん子で摘出したり、薬品ですべりやすくし、排出させます。自宅で出来る事は、まず小鳥を暖め体力の温存を図り、自然な排出を促します。抗生剤、栄養剤の投与を行います。予防的には、産卵が始まると、産卵を中止させるため、ケージ飼いをしている人は、巣皿や、擬卵を入れ、抱卵させると良いでしょう。
インコ類は5~6ヶの卵を産むと産卵を中止するので、3週間ほど抱きヒナが孵らないと分かると、卵を放棄し、また次の産卵に備えます。次の産卵で同じような症状になり、卵秘が再開する事もありますが、同じようにやってみるといいでしょう。これを、産卵シーズンが終るまで繰り返します。また、軟卵の為に産卵できないときは、イカの甲カルシウム剤、ボレー粉などの他に、鶏卵の殻を砕き、すり鉢で粉にし、飼料に混ぜてカルシウムの補給をすると同時に、1日3時間以上の日光浴をお勧めします。
鳥も鳥肌が立つのか?
人は寒いと感じたり緊張したり恐怖を覚えたりすると鳥肌が立つことがあります。又感動した時にも精神的な緊張で汗腺が収縮し鳥肌が立つことがあります。人の皮膚には汗腺があり、それを開いたり閉じたりして汗を出す量を調節し、体温を一定に保とうとします。お風呂に入ったり、プールに飛び込むなど、急に寒冷を感じると、開いていた汗腺が急激に収縮し、鳥肌として認識されるのです。
一方鳥類には汗腺はほとんどありません。汗っかきのニワトリや小鳥がいないのはそのためです。鳥は元々汗腺がなく、体温調節のために汗腺を収縮させる必要がないので寒くても鳥肌が立つことはありません。鳥の体温調節は呼吸で行われます。気温の高いところでは口を開け(開口呼吸)ハァハァと呼吸し体温を逃がそうとします。又、寒い時は羽を膨らませ(膨羽し)体温の維持をしようとします。鳥は元々体温(普通で39℃ぐらいある)が高く、夏の暑い日に換気が悪いと熱中症になりやすいのはそのためです。