自分のウンチを食べる犬
犬の食糞はたまに見られる行動です。食糞は、年齢や性別、食生活、去勢の有無などには関係がないとされますが、成犬よりも子犬や分離不安を持つ犬に多いようです。また、退屈を紛らわす、発酵したものを体が欲しがっている、単に食餌量が不足しているなど、要因はさまざまです。
傾向としては、食に貪欲で急いで食べる犬に多く、食糞する犬の多くは、新鮮な糞に興味を示すと言われています。そもそも、犬の祖先は、自分の周囲から糞を取り除くという行動をとっており、食糞はこのような習性に由来するものだけに、しつけによってやめさせるのは非常に困難です。しかし、犬にとっては自然なことでも、飼い主としては決して気分のいいものではありません。
糞の中には栄養的価値があるとも考えられますが、食糞は無害とは言い切れません。寄生虫はウイルス性の病気が感染する可能性もあります。糞は即座に片付けるのが一番ですが、食糞をやめさせるためのサプリメントも販売されています。ぜひ動物病院にご相談ください。
ドッグランへ行こう
犬をノーリードで自由に運動させられるドッグランが人気です。生き生きと走りまわる犬の姿は、見ている私たちも楽しい気分にさせてくれます。そこで、ドッグラン利用のマナーと注意点をご紹介します。まず、犬の命を守るために、ワクチン接種、狂犬病予防接種は必須です。接種証明書がないと利用できない施設がほとんどです。
ドッグランデビューするにあたり、基本的な躾は大丈夫ですか。犬同士のあいさつ、コミュニケーションはとれますか。また、「待て、来い、おいで」などの呼び戻し、犬が危険な行動に及んだ時「いけない、だめ、ノー」など、愛犬を制御できることが大切です。ドッグランでは、まずリードを付けて入り、安全な状況を確認してから外します。愛犬から常に目を離さないでください。
また、発情期のメスはドッグランに連れて行ってはいけません。大きなトラブルにもつながります。その他、排泄物の処理は必ず行うなど、基本的マナーはもちろん、施設ごとに決められたルールがあります。他人他犬に迷惑をかけないよう、ドッグランを楽しんでください。
犬の寿命としつけの関係
犬の寿命は、犬種や大きさ、純血種か雑種かなどである程度決まりますが、寿命を伸ばすためには、しつけも重要だということをご存知でしょうか。実は、しつけがされている犬の方が、されていない犬より寿命が長い傾向にあります。きちんとしつけられている犬は、普段から飼い主さんとのコミュニケーションがあり、必然的に共に過ごす時間が増え,お手入れをする機会も増えます。
日常的におていれをしていると、犬の細かい仕草に違和感を感じたり、手触りで異常を察知しやすくなります。それが病気の早期発見につながり、早い段階で治療を始められます。動物病院で診療を受ける場合でも、じっとしていられるようにしつけられた犬は、暴れる犬に比べて検査や治療が行いやすく、それだけ、それらの選択肢も増え、長生きの可能性は高くなります。
また、しつけを通してさまざまなことを経験した犬は、日常生活におけるストレスが減ります。愛犬を長生きさせるためにも、しつけを見直してはいかがでしょうか。
犬と人との関係
新年は戌年です。犬は3万年ほど前から人と暮らしていたと推定され、家畜として飼われるようになったのは約1万2千年前と言われています。最初は狼の子どもを飼いならし、狩りに使ったのではないかとされています。長い歴史の中でこれほど人と共に生きてきた動物はありません。犬は本来、統制のとれた群れで生活する動物で、その性質は先祖から今も受け継がれています。
ペットとして飼われている犬は、その家族を群れのメンバーと認識しています。「犬は3日飼えば3年恩を忘れず」ということわざがあります。他人から受けた恩はいつまでも忘れてはならないという教えです。犬は生後4か月くらいまでに経験したこと、覚えたことは一生忘れません。人との円滑な関係を築くためにも、その時期は重要です。
本院では、社会化期と言われる生後3~4カ月の子犬を対象に、躾の仕方、犬同士や人との付き合い方を学ぶ教室「犬の幼稚園」を実施しています。この時期に学習したことは一生身に付く基本となり、病院での治療や家族との良好な関係に役立ちます。
犬のレーズン中毒にご注意
犬に絶対与えてはいけない「食べ物」は、チョコレート、ネギ類、キシリトール、マカダミアナッツ、アボガド、アルコール、そしてブドウやレーズンです。ブドウをそのまま犬に与える人はあまりいないと思いますが、パンなどに入っているレーズンは、うっかり犬が食べる恐れがあります。
摂取後は1~3日以内に吐く、下痢、食欲不振などの消化器症状が現れます。また、重症化で死に至る急性腎不全を起こすこともあります。中毒症状が出る摂取量は、ブドウなら犬の体重1kgあたり20g。レーズンは生のブドウを干して7倍に濃縮されるので、体重1kgあたり3gです。体重3kgの犬では約14粒で症状が出る可能性があります。
コンビニエンスストアで実際に売られているレーズンパンは1個の中に、レーズンが約24粒から41粒入っており、小型犬ではレーズンパン1個でも非常に危険な状態になることがわかります。パンやシリアルに入っているレーズンに注意することはもちろん、人の食べ残しやゴミ、食べ物の入った買い物袋を床に放置するのは危険です。犬の盗食を誘発しないように注意しましょう。
犬猫用コエンザイムQ10について
美容と健康、若さを保つため、コエンザイムQ10(COQ10)を化粧品やサプリメントとしてお使いの方も多いと思いますが、実は動物用サプリメントのCOQ10も発売されています。
ヒトを含む動物の体の細胞の中には、遺伝子情報が詰まった核と、エネルギーを作る発電所のようなミトコンドリアが入っています。その中のエネルギー供給を仲介する物質ATPを十分に活躍させるためには補酵素として還元型のCOQ10が必要になってきます。
COQ10は元々体の中にある物質ですが、残念なことに体の中で利用される還元型のCOQ10は、加齢病気、体質などにより低下し、加齢とともに酸化型COQ10を還元型のCOQ10に変換する力も落ちてきます。皮膚や筋肉、心臓や肝臓などの全ての臓器は細胞からできているので、これが不足すると元気がなくなります。
また、体が活動すると活性酸素などの老廃物(サビ)がたまりますが、COQ10の抗酸化作用によってこれをためないようにし、酸化したものを元に戻す(還元する)役割を果たします。健康寿命を伸ばし元気に暮らすため、ヒトもペットも還元型COQ10サプリメントをお勧めします。
犬猫の病気傾向
動物病院に来院する犬猫の病気で多いのが、犬は皮膚炎や外耳炎、猫では下痢や口内炎ですがこれらはいずれも飼い主さんが気付きやすい症状でもあります。手術で多いのは、高齢の犬猫の癌や歯周病、若齢の犬猫では異物誤飲です。
小型犬の場合、手術を伴う骨折や膝蓋骨脱臼、高齢犬(7歳以上)では、歯周病のほか心臓の僧帽弁閉鎖不全症も多くみられます。犬種別では、キャバリアは心臓病にかかりやすく、発症リスクは犬種全体の約10倍といわれています。
また、ゴールデンレトリバーとバーニーズ・マウンテン・ドッグは癌の発症リスクが高いとされています。一方、猫は膀胱炎、腎不全、尿石症などの泌尿器系疾患が多く、年齢別では子猫(0歳)は外耳炎結膜炎、猫風邪、成猫(1~6歳)が尿石症、高齢猫(7歳以上)には腎不全や腎疾患が目立ちます。
しかし、飼い主さんの注意しだいで予防できることもあります。特に骨折、歯周病、異物誤飲などは、普段のしつけ、飼育環境の整備、日常のケアで防げます。定期的な予防接種や健診で、傷病の発生を軽減できますので、早く気付き、対処することが大切です。
犬のダイエット
ペットの肥満と飼い主さんの肥満は、少なからず関係があるように思います。自分自身が肥満傾向にある人は、ペットの肥満にも寛容で、対策を講じないことが多いようです。一般的に、犬の胸に触って肋骨に触れない場合と、軽い運動で息が上がる場合は、肥満をはじめとした何らかの異常の可能性があると言われています。
肥満は関節痛、心臓病、糖尿病などの病気やホルモン異常を起こすこともあり、寿命を縮める原因のひとつになります。早く気づき対策をとることが必要です。まずは、食事と運動を見直し、体重の記録をとりましょう。ダイエット用フードに切り替えて摂取カロリーを減らし、食事はおやつを含めた1日分の総量を考え、過剰に与えないように心がけてください。
運動は身体に負担のかからない程度に、今より増やしていきましょう。散歩の距離や回数を多くしたりおもちゃやボール投げで遊んだり、ドッグランに行くのもおすすめです。肥満傾向の犬は、運動嫌いになりさらに太るという悪循環に陥りがちです。愛犬のダイエットはお早めに。
ドッグランでの注意点
ドッグランは愛犬をリードなしで自由に遊ばせることができる施設です。誰でも楽しく利用できるようにルールとマナーを守ることが大切です。大小さまざまな犬が集まるドッグランでは、しっかりと躾ができているかが重要です。
飼い主の言うことが聞けない犬は大変危険です。最低でも「お座り、待て、来い」はできるように躾をして下さい。ドッグランデビューをする場合、初日はリードを付けてまずはその場に慣れさせることから始めます。初めての場に来た緊張と興奮で、飼い主さんの指示が全く耳に届かず、コントロール出来なくなる可能性もあります。
ドッグランの中では、自分の犬から決して目を離さないこと。目を離した隙に、他の犬とトラブルになったり、排泄したりすることがあります。また、小さな子供さんは、急に犬を触ったり、大声を出したりなどをする可能性があります。それによって犬が怯えたり興奮したりしてトラブルになることもありますので注意が必要です。また、犬の首輪や胴輪は外さないでください。犬同士のトラブルの際、引き離すのに役立ちます。
犬のいびき
いびきとは、睡眠中に鼻腔や咽頭を空気が通過する時、軟口蓋、口蓋垂などが振動して生じます。簡単に言うと、咽喉が狭くなって出るわけですが、狭くなる原因のひとつは、舌の付け根が大きくなることです。
牛タンを食べるとよくわかると思いますが、舌の付け根には脂肪が付いています。特に過度に肥育した牛の舌の付け根や喉、首の周囲には多くの脂肪がみられます。太った人がいびきをかきやすいというのは、そういう理由からです。
同様に、太った犬もいびきが多くなります。また、パグ、シーズー、ブルドックなどの鼻の短い犬種がよくいびきをかくのも、喉が狭いという同じ理由です。一方、猫やウサギ、ハムスターなどは太っていても喉が狭くなりにくいので、いびきはかきません。
いびきは喉や鼻が原因で起きていることがほどんどですが、中には心臓や呼吸器に疾患が隠れている場合もあります。いびきそのもので命を落とようなすことはありませんが、いびきの途中で呼吸が止まったり、あまりにもいびきがひどい場合には、動物病院を受診してください。
ペットのマイクロチップ
ペットが迷子になったり盗難にあった時、身元が確認できるのがマイクロチップです。直径2㎜、長さ1㎝のごく小さいもので、その中に世界でただ一つのID番号が記録されています。通常ペットの首の後ろの皮下に埋め込みます。
保健所にはマイクロチップリーダー(読み取り器)が完備されているので、もし保健所に保護されても、真っ先に飼い主さんに連絡が入ります。東日本大震災の際は、これで多くの動物が助かりました。マイクロチップの装着は簡単で、専用の注射器を使い、首の後ろの皮下に埋め込み、データ読み取り確認をして終了。注射と同程度の刺激といわれています。
その後、登録料1000円を振り込み、マイクロチップ動物ID登録申込書を日本獣医師会に郵送します。約3週間後飼い主さんのもとへ、登録完了通知書が送られてきます。登録した情報は、約20年間保存されることになっています。費用は病院によって異なりますが、診察料、埋め込み処置、登録料を合わせて5000円ぐらいです。大切なペットの万が一に備えて、マイクロチップの装着を検討してみてはどうでしょうか。
犬の子宮蓄膿症
避妊手術をしていない雌犬がそのまま高齢になると、子宮蓄膿症を発症することがあります。雌犬の発情は生後7~8カ月で始まり、その後6カ月ごとに繰り返され、個体差もありますが、8歳前後まで続きます。
発情が終わり、しばらくしてから、また出血が始まった時や止まらない時は、卵巣腫瘍の存在が疑われます。また、普通の発情後に1~2カ月してから、子宮蓄膿症になることもあります。子宮蓄膿症を放置すると子宮内の膿から出る毒素や抗原物質が影響を及ぼし、血液の凝固障害や敗血症など重篤な状態に陥ることがあります。子宮が破裂した場合は、緊急手術を行わなければなりません。
子宮蓄膿症予防のためには、なるべく早い時期に避妊手術をすることで、卵巣、子宮など婦人科系の病気や、乳腺腫瘍、女性ホルモンに由来する糖尿病などの予防にもつながります。元気や食欲がない、陰部を舐める、多飲多尿、お腹が大きくなる、呼吸が苦しいなどの症状が見られる時は、動物病院を受診してください。
高齢ペットの病気対策
人と同様ペットも高齢化し、老化に伴う病気が増えてきました。犬や猫は大体7歳からをシニア期ととらえます。犬では、目が白く濁る、耳が遠くなる、歩き方がぎこちなくなる、すぐ疲れる、咳をする、夜鳴きをする、物にぶつかる、水を多量に飲む、口の周囲に白毛が目立つ、名前を呼んでも無反応など、シニア期の特徴が現われてきます。
病気としては、骨関節疾患、心臓病、慢性腎臓病、腫瘍、代謝疾患、ホルモン異常、認知症、歯周病、肥満などが多くなります。そこで、飼い主さんが気を付けなくてはならないのが、年齢や病状に合った食事管理、歯磨き、無理のない運動です。そのほか、声をかけてから徐々に触る、家具の配置を変えないなど聴力、視力の低下に配慮して接することが必要です。
かわいいペットを長生きさせるためには、予防接種やフィラリア予防、避妊・去勢手術をする、ストレスの軽減なども大切です。行動や体調の変化を単に年のせいだと決めつけると病気が進行してしまうことがあります。シニア期は、少なくとも半年に一回の定期検診を受けるようにしましょう。
犬のマダニ予防
犬はクンクン臭いを嗅ぎながら、鼻先から草の中に入りますが、そこには厄介なマダニが潜んでいます。マダニは8本脚からなる節足動物で、昆虫ではなくクモやサソリに近い生き物です。日本に棲むマダニのうち約20種類が犬に寄生します。マダニの唯一の栄養源は動物の血液で、吸血の際に、原虫やウイルス、細菌などの病原体を媒介することがあります。
ダニが媒介する感染症は、ライム病とツツガムシ病が有名です。また、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は治療薬がない厄介なウイルス性の病気です。マダニが犬の体に付かないようにするには、薬を使うのが効果的です。現在はスポットオンが主流ですが、首輪や飲むタイプの薬もあります。また、同時にフィラリア予防もできたり、3か月効果が持続するものもあります。
スポットオンタイプは犬の首筋の皮膚に垂らすだけで、24時間以内に全身の皮膚の皮膚線に広がり、その効果は約一か月続きます。その間シャンプーをしても大丈夫。人への安全性も確認されています。自分の生活に合った薬で犬のダニ、ノミ、フィラリアを予防しましょう。
犬猫の歯周病
ペットとして飼われている犬猫のほぼ100%が、口腔に関する何らかのトラブルを持っています。大型犬の場合は、おやつとして与える牛の蹄など、硬い物をかじった時に歯が欠けることがよくあります。犬猫の口の中にはミュータント菌が棲めないため、虫歯で歯を失うということはほとんどありません。
歯を失う原因の多くは歯槽膿漏などの歯周病です。特に2歳以上の室内飼育の小型犬では歯周病の罹患率が20%~90%と高くなっています。歯周病巣で増殖した細菌が血流に乗り全身に流れ、重篤な病気につながることもあります。デンタルケアは犬猫にとっても大切なのです。
飼っている犬猫の口臭を感じたら、口の中をチェックし、歯垢を除去しましょう。歯磨きは週2回を目安に行います。
初めは口を触る練習からスタート。ガーゼで擦ったり、軍手をしてマッサージしたりするだけでもいいでしょう。その時に好きな缶詰などを付けてもかまいません。そのほか、歯垢の付きにくいフードやガムを与えるなど、歯周病にならないよう注意しましょう。
犬を飼うメリット
糖尿病や癌などを発見する犬は別格として、犬を飼うと良い効果があるといわれています。犬との散歩で会話が増え、社交性が高まり、飼い主さんの運動量も必然的に増えます。犬と触れ合ったり、見つめるだけで、幸せな気分になり、幸せホルモン(オキシトシン)の分泌量が多くなります。犬の広い額、大きな目、小さな鼻は、人の赤ちゃんを連想させ、母性がかきたてられます。ストレスを感じる状況下では、ストレスの減少に役立ちます。
犬と暮らす幼児はアレルギーの発症リスクが少なくなります。ペットを飼っている一人暮らしの高齢者は、うつになるのが、4分の1に減少することが判っています。アメリカでは、ストレス障害の帰還兵や刑務所での服役者が、犬とふれ合うプログラムで、リハビリ効果を上げています。
ほかにもメリットはありますが、犬と遊んだり、抱きしめたりしながら、犬との強い絆を感じる喜びがあります。犬と一緒ならさらに充実した楽しい人生を送ることができるでしょう。
犬の心臓病「僧帽弁閉鎖不全症」
犬も高齢になると、心臓の弁が分厚くなったり、伸びてしまったりと機能が低下してきます。それによって、心臓の左心房と左心室を仕切る僧帽弁が完全に閉鎖せず、心臓が拍動するたびに血液が逆流し慢性心不全の原因となる僧帽弁閉鎖不全症になることがあります。
きちんと閉じなくなった弁が自然に回復することはありません。血液をスムースに送り出せないと、心臓はより強い力を必要として負担がかかり、多くの場合徐々に症状が悪化します。形状は心臓肥大となり、気管支が圧迫されて咳や呼吸困難、肺水腫を発症するようになります。
僧帽弁閉鎖不全症と診断されたら投薬、食事療法、酸素吸入などを行います。そのほか、興奮して心拍数が上がらないように安静にする、血圧上昇や血管収縮をさけるため急激な温度変化に配慮するなどして、病気の進行を遅らせることは可能です。
呼吸が苦しそう、舌の色が紫または白っぽい、伏せたり横になって眠れない、透明からピンク色の泡状の鼻汁や痰が出るなどの症状がある時は早急な治療が必要です。
犬の笑顔
ほかの動物ではあまり見かけませんが、目を細め口角を上げるなど、犬は笑ってるように見える表情をすることがあります。特に柴犬などの日本犬に多くみられます。犬は1万5千年前から、人と一緒に暮らしています。その先祖は元々、群れで生活する動物で、相手の表情や行動を注意深く観察したり、真似したりする能力にたけています。
嬉しい、楽しいという感情から笑うというのは、人間を含めて一部の霊長類しか見られませんが、最近の研究で、犬が我々人間の表情から、「笑顔=YES(肯定的)・怒った顔=NO(否定的)」と認識していることがわかってきました。
表情によるコミュニケーションは、犬が長い間、人間と共に生きてきたことによって習得した能力といえるかもしれません。つまり、飼い主が笑顔だと犬も真似して笑うような表情になるというわけです。その犬の笑顔を見て、飼い主はさらに笑顔になるという好循環が「笑顔=GOOD(好意的・ごきげん)」と、犬が学習するのだと思われます。この幸せスパイラルをぜひ体験してみてください。
パピー(子犬のしつけ)教室について
パピークラスとは 2~4カ月の仔犬を対象に、遊びながらワンちゃん同士の付き合い方や、お家の方以外の人とも楽しく過ごし、これから出会うであろう音や物に触れてもらいます。そして、ワンちゃんとはどういう生き物か、「しつけ」とは何か、問題行動の予防等を飼主様に伝授し、ワンちゃんも飼主様も楽しい毎日がおくれる様、一緒に勉強する場です。
子犬のしつけ教室犬の発育過程でおよそ生後3~14週令に「社会化期」という時期があります。この時期は、音や物、場所、犬や人、その他の動物などたくさんの物を子犬達はスポンジのように吸収し、社会性を身に付けます。この時期に出会った物や体験した事は、生涯記憶に残り、その犬の性格にも大きな影響を与えます。将来、問題行動を起こさないよう、この時期を大事に過ごして頂くものです。
大抵の子犬達は、何にでもすぐに慣れてくるのですが、この時期に注意したいのが恐怖心や嫌悪感を体験してしまうことです。これもかれらの記憶に深く刻まれてしまうため、取り除く事は困難になります。そのため、新しい刺激や体験をさせる時、必ず「良い事」「嬉しい事」と一緒にすると、苦手になる事を防げます。
「良い事」「嬉しい事」に、普段与えているフードやおやつを使います。単にお皿に盛られたフードを、食事として5~10分で済ませてしまうよりも、お客さんが家に来た時に与えてもらったり、宅配のお兄さんに与えてもらったりするなど、「人はいつも自分にとって良い事をしてくれる」と思えば、人が大好きになります。
また、外で車やバス、電車、パトカー、自転車のベルやパチンコ屋の音、犬、猫、鳥、虫、風の音など、日常の中には沢山の音で溢れています。「社会化期」にそれらできるだけ多くの音を体験させることで、人間社会においてワンちゃんも飼主様も、あまりストレスを感じることなく過ごせるようになります。
予防注射や病気やケガをした時に動物病院に行きますよね。しかしワンちゃんにとって「病院」はなかなか好きになれる所ではありません。そこで、この「社会化期」に病院でいっぱい遊んで、スタッフとも楽しい思い出を作って頂ければ、まず動物病院に対する恐怖心は取り除くことができます。犬同士の付き合い方も社会化期の時期に身に付けさせることが大切です。遊びを通してケンカにならない対応の仕方や、遊びの誘い方等、犬同士の社会性をぜひ一緒に身に付けましょう。
ワクチン接種と公園デビュー時期
2ヶ月半になるオスのマルチーズを飼い始めました。生後50日で2種混合のワクチンが打たれています。仔犬の狂犬病とワクチンの時期は何時ですか?また、外へ出して遊べるのはいつ頃からか教えて下さい。
ワクチン接種の時期は母親から移行する(もらう)胎盤や母乳からの免疫が無くなる時期により異なります。例えば、パルボウイルスについて言うと、早ければ生後30日程で無くなるケースがあります。一方、長いと90日以上持続します。また厄介な事に、母親からもらった移行抗体があるとワクチンを接種しても抗体価が上がりにくいのです。
つまり、せっかく打ったワクチンが、体を守るためにある抗体に打ち消されてしまい効果が期待できません。飼主さんはワクチンを打っているから安心して外に出してしまうと言うこともあります。だから、子犬には何回かワクチンを打つことになります。また複数回打つ事で、上がりかけた抗体価をグーンとあげる効果もあります。
混合ワクチンでは、3ヶ月半を過ぎてからもう1回接種する事をお勧めします。ワクチンを打ってから効果が出るまで1週間はかかります。病気の事を考えると、公園デビューはそれからする方が安全です。一方、躾の事で言うと生後2ヶ月から4カ月の子犬の社会化期(犬としてのルールを学ぶ時期)に他の犬や色々な人・物に慣れさせる大事な時期でもあります。
何回かワクチンを接種しながらまたそのワクチンが効いている事を願いつつ、外に出すことになります。狂犬病予防接種と登録は、生後90日以上の犬が対象になります。何のワクチンを接種するか、その時期(タイミング)はそれぞれの子犬によって異なります。動物病院にお問い合わせください。
犬の肥満について
人の肥満についてもそうですが、犬の肥満についての関心は高く、飼主さんの83%が飼い犬の肥満を感じていると言うデータがあります。動物の栄養状態を示すツールとして、BCS(ボディコンシャススコア)というものがあります。5段階で表示されるものですが、4は肥満傾向(体重過剰)5が肥満としています。BCS3理想体重は、肋骨が薄い脂肪に覆われ触る事が出来る状態で、腰部は薄い脂肪に覆われなだらかな輪郭をしている事とされています。骨格には触れる事が出来、体型的にみると、腹部がごく薄い脂肪に覆われ、腰に適度なくびれがあることとされています。
体重が増える原因は、飼主さんが太っていることも大いに関係しています。犬が太っている事を気にしない方が多く、お腹が空いてはかわいそうと言う気持ちがあるのかも知れません。もちろん体質もあります。中高年になり基礎代謝の低下がみられる・避妊・去勢をしている・運動不足なども肥満の原因としてあげられます。特に室内飼いだと食べ物を、必要以上に与えてしまいがちです。体重5kgの犬にクッキー1枚を与えると、人だと対ハンバーガー1個に相当するカロリーがあります。
犬の認知症の始まりについて
犬の認知症が柴犬等の日本犬を中心に多く見受けられます。お宅の(犬)ワンちゃんに、以下の様な兆候が有れば、認知症が始まっているかも知れません。注意深く観察してみて下さい。
1)よく知っている環境下での見当識障害(Disorientation)狭い場所を通りぬけようとする・室内での方向感覚の喪失散歩のとき、方向感覚を失うことがある。2)人や他の動物との関係性の変化(Interaction)感覚が鈍くなって攻撃性が高まった・飼い主と関係を持たない飼い主を認識できないことがある。
3)睡眠―覚醒周期の変化する時間認識障害(Sleep-wake cycle) 昼夜逆転 4)しつけや排泄など学習されていた行動の減退や反応の欠如(Housetraining)尿失禁・ 糞便失禁。5)活動性の変化(Activity)常同的な歩行・くるくる回る・ 夜哭き後ずさりできない・ 無目的に歩き回る・ 睡眠の増加。この様な症状が有ると動物病院へ相談してみて下さい。
脳血管障害の薬を与える場合も有り、人の認知症の薬を動物に応用し、症状の改善が多く見られます。予防的には、栄養学的にオメガ3の脂肪酸(DHA・EPA)を添加し脳の活性を図ったり、腫瘍や関節炎を視野に入れたシニア用のフードも市販されています。年のせいと諦めずに動物病院にお問い合わせ下さい。