馬のこと

松園動物病院 動物のこと(馬のこと)

乗馬のすすめ

岩手県は古くから馬産地として有名で、一昔前までは馬を飼っていた家も珍しくなく、子供の頃は馬にまたがって遊んだという方もいると思います。馬の背から見る景色は、視点が高く視野が広く格別です。また、手綱を取り足で馬を操ることで人の意思が馬に伝わり、人と馬が一体になれるというのも魅力のひとつです。

シニアの皆さんも乗馬に挑戦してみませんか。岩手県内には、初心者でも乗馬体験できる施設がたくさんあり、インストラクターが手取り足取り丁寧に教えてくれます。滝沢市砂込、アピオの隣にある「馬っこパークいわて」は、シニアに優しい、料金も格安なお試しコース、「シニアコース」が利用しやすくなっています。また、ハンディキャップのある方には、毎週水曜日の午前にセラピー乗馬も開催しています。

小中学生対象の乗馬スポーツ少年団は毎週土曜日に活動しています。心身ともに健康リフレッシュ効果があり、子供から高齢者まで年齢に関係なく楽しめるのが乗馬です。シニア世代の会員さんもたくさんいます。一度体験してみませんか。連絡は、馬っこパーク・いわて?019-688-5290迄どうぞ。

チャグチャグ馬コのはなし

「岩手音風景」にも選ばれている、チャグチャグ馬コがまたこの夏もやって来ます。今年は震災の影響で警備が手薄になるということで、一時中止の話が出ましたが、実行委員会あるチャグチャグ馬コ保存会の方達の熱意で、コースは短縮されますが、実施されることになりました。岩手県にいながらチャグチャグ馬っこを見たことがないという方がたまにいらっしゃってびっくりする事がありますが、ぜひ一度実際の馬の行列を見て頂きたいと思います。

チャグ馬は主として、「ブルトン種」や「ペルシュロン」といわれる大きな馬ですが、体重が1t程の「重種」という種類に分類されます。これらの馬は古くは、農業用・晩用に使われていた馬達です。現在ではもちろんこの用途に使われることはありません。チャグチャグ馬っこのお祭のためだけに365日馬の世話をされています。

最高は65回連続出場されている方もいらっしゃいますし、60回以上連続出場されている方も中にはいらっしゃいます。このお祭も高齢化の波が押し寄せて来ているのですネ。もちろん、この記録は一人で実現できることではなく、息子さん、お嫁さん、お孫さんと家族の力がなくては達成できません。行事を見ることで、この様なイベントを家族が支えているということがお分かりになるかと思います。

また、運が良ければ子馬の姿が見られます。皆、今年の春に生まれた離乳前の子馬です。休憩中に授乳するのを見れる事があります。ぜひ子供さん達に見てほしいです。私も行進に出場します。見かけたら声をかけて下さい。

馬の腸とタイヤの話

今も、スタジオに来る時、車で雪の上を走れるのは便利だなと思いつつ、やってきたわけですが。自動車のタイヤを発明したのが獣医師だということはあまり知られていません。発明当時の自動車は木製の車輪に空気の入らないゴムだけを巻き付けたタイヤを付けていました。当時は道路も舗装されておらず、さぞかし乗り心地が悪かったと思います。

イギリスの獣医師、ダンロップ氏は馬のセン痛の治療中に、腸がポンポンに膨らむことをヒントにタイヤのチューブを発明し、現在のような乗り心地の良いタイヤを開発しました。草食動物は、腸がすごく発達していて、食べた草に含まれる硬い繊維も微生物を使って発酵分解し、細菌や原虫などの微生物を育て、その死骸を主としてタンパク質やビタミンなど栄養素として吸収しています。

グイッポといった空気を飲み込む癖のある馬では風気せんを起こすときも有ります。腸の病気になると、腸の内容物が発酵して風船を膨らませたようにパンパンになります。ダンロップ獣医師の発明で自動車のスピードが出せる様になり、乗り心地も大変良くなりました。自動車産業をはじめ、自転車や飛行機も飛べるようになりその恩恵を受けています。タイヤチューブの発明のヒントは、元は馬のお腹の病気だったなんてびっくり出すね。新しい事を発明する人の着眼点は凄いですね。

馬のしっぽの話

ポニーテールと言う女の子の髪型をご存知ですね。髪の毛を頭の後ろでひとつに束ねて、ふさふさと垂らしているあの髪型です。風にそよそよと揺れるポニーテールや、小走りに走ると左右に揺れるポニーテールは男の子にとって淡い思い出のひとコマであるかも知れません。このポニーテールという髪型は、馬と関係のある名前で、ポニーとは、日本語で小さな馬。テールはしっぽのことです。ですから、ポニーテールは”小さな馬のしっぽ”という意味になります。束ねて垂らした髪の毛が、小さな馬のしっぽのように見えるのでこの名前が付いたと思われます。

馬のしっぽは意外なものに使われています。バイオリンは4本の弦を、右手に持った弓でこすって音を出します。その弓の毛が、馬のしっぽで出来ているのです。走っている馬のしっぽは、風になびいてとてもきれいです。そのきれいなしっぽが、美しい音色を奏でるのに、役に立っているのはおもしろいですね。

ところで、馬のしっぽが長いのはアブやハエなどの虫を追い払うためといわれています。競走馬や乗馬ではしっぽを切りそろえたり、雨の日の調教では、しっぽが砂でどろどろで、洗うのが大変になるので短く結い上げる事も有ります。馬が走るとき、バランスを取るためにしっぽが必要だといった意見もあり、切ったり結ったりするのを嫌う調教師さんもいます。方向転換や疲れないよう肢の出す方を変えることを『手前を変える』といいますが、その時に微妙にしっぽを使っています。また、しっぽは感情を表すのにも役立っています。

いらいらした時や苦痛がある時はしっぽをバシッバシッと体に打ち付けます。かえしうまやレース中にしっぽをぐるぐる廻しているのはジョッキーに逆らっている事を表しているので、馬券の対象から外した方が言いかと思います。参考までに。

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